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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

ホイールベアリング交換

メール問い合わせでの初見のお客様 ヤマハVOXさん。走行 約3万4千キロ。
結構走ってます。ワンオーナーで毎日のヘビーユース使用とのこと。
フロント周りから 走行中 たまに異音がするとのことでの診察依頼。

ご来店にて フロントホイールのガタの確認にて すぐに原因発覚。
事前の予想でもしておりましたが フロントホイールベアリングが逝ってました。
まだ片側崩壊までは行ってませんでしたが 左右あるうちのどちらかはかなりダメな感触でした。


写真が取り外したベアリング、インナーカラー、シールたち。
案の定 ベアリングは片側 崩壊寸前でした(汗)。
ギリセーフでしたね。
毎日 約100キロほど使用しているらしいので もう一週間も持たなかったでしょうね。
皆さまも 回転部分の異音や振動が気になったらお早目の診察が吉です。
今回の事案はどのカテゴリーの車両でもなり得ますので。
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V125 リヤサス交換

10万キロオーバーの スズキ アドレスV125Gのリヤサス交換しました。

真っ黒なのは オイルが抜けて全体に飛び散っているからですが どれくらい前からかは分かりませんな.....
オーナーは 歴代 アドレスV100を2台 10万キロ突破させ、現在のV125も10万キロ突破させている 魚雷さんです。
今回のV125は歴代V100に比べ まだまだ先があるので 車体側にも手を入れる事を推奨しました。
いい加減 バインバインなスプリングのみのサスに成り下がっているので、ぶっ飛ばす魚雷さんにはちと危険かと.....
またも 30年振りの 「魚雷発射」となってしまうかもしれませんからね(笑)。

ナンバー灯 球切れ

先日車検でお預かりの スズキ グラディウス400さん。

灯火類チェックの段階でナンバー灯切れが発覚。グラディウスは通常球なのでLEDと違って球交換できるので便利で安いですが その交換まで行きつくのがチト大変なお話。


写真のようにナンバー灯のカバー表側からの留めネジはありません。
どうやってバラすのか当初考えましたが 結果 リヤ周りの一部とシート下のフェンダーを外さないといけない事に。リヤウィンカーも取り外すようで 個人的 ブツブツを言わせてもらうと「何故ナンバー灯ごときでここまでバラさねば?」というもの。

全て 裏側から留めてました(泣)
いくら見た目をキレイにって言ったって これはないぜ セニョリ~タってtetsuは思ったわけで....


そして ナンバー灯はこれまた在庫で持っていなかった 12V5Wの小型球っていうオチでして.....
いや 在庫で持っていないウチが悪いのか?とも一瞬思ったりしましたが 12V5Wの小型球なんてそうそう使わないので元々在庫しませんから!
スクーターのウィンカー球とかに多用されている「ウェッジ球にしておけばいいのに...」とここでもブツブツ言ってました(笑)。それなら在庫あるし.....

なんやかんや 無事交換して 車検もバッチリだったのですがね.....

この作業がぶっちゃけ今回のグラディウス作業で 一番疲れたような.....

因みに 車検預かり時にナンバー灯切れている車両は まま あります。
ナンバー灯 不灯だと 整備不良となりますので 皆さま 仕業点検時には ナンバー灯のチェックもお忘れなく!

KTM150EXC TPI 腰上OH

ちょっと前に行った作業風景です。
林道部 Sinくんの エンデューロ車 KTM150EXC TPIの腰上OHの模様です。


今年の初めに車体全体グリスアップ他整備で預かった際 妙にエンジン音 特にピストンの打音が大きい指摘をしたところ ここ最近やはり本人も大きいと感じており、丁度 一緒に練習する仲間で MY2021の同型 150がいてそのエンジン音に比べて やはりエンジン音(特にアイドリング時)が大きいとのことで 一度腰上確認という方向に。
tetsuの感覚的には 2本あるピストンリングのうち 下側が固着もしくは折れているのではっていう感じな打音でした。始動性は問題ないようでしたので 圧縮の問題で一本目のリングは生きているとも思いましたし。

当該車両 走行距離 1250km、使用時間 72時間と 一応 まだメーカー推奨の腰上OH時期ではないですが クロスカントリーレース使用が少ないとはいえ ハード使用の方が多く 使用用途が主に 「登る」系統で半クラ高回転も多用する兼ね合いもありますので やはりレーサーとしては定期メンテ兼ねて診ておくのは必至ですよね。
距離的には ピストンそのままでリング交換のみで行けそうなのですが バラす前のピストン打音が気になったのでピストンセットで交換します。

ピストンを発注する際に気が付いたのですが、部番が変更になっている。しかも その部番が大幅に違うものに変更になっている点。
通常 マイナーチェンジくらいは末尾の数字二けたくらいが変わるくらいですが 今回 全ての表記が変更になっているのが少し疑問に思いました(後にこれが判明します)。
SinくんのモデルはMY2020。150TPIとしては初期型。初期型のピストンの部番から現在部番変更されており それらは 2021年モデル以降と統一になっております。バラす前から気になる点ですね。


久しぶりの2スト腰上OHです。やはり4ストのような バラす物が多くない2ストはこういう時はいいですね(笑)。
流石レーサー、しかも150ccなのでシリンダーも小さいのもあり tetsuイメージ的には「あっという間」にバラけます。
取り外すのにもCRMのような「あれ外して、これ外して」という 腰上まで到達する前にバラすもの沢山とはならないのでがいいです。
TPI=2ストインジェクションなのでシリンダーに インジェクターとホースが繋がっていたりしますがこの辺もそう邪魔にはなりません。機械式排気バルブの作動部との連結を外すのもこのモデルは簡単方式なので おおむねこの辺の整備性は良いと感じました。

で、シリンダー外しましたの図。

吸気側 下側辺りには なにかカジった形跡がありましたね。ピストンの焼き付きというよりも エアクリーナ側から吸い込んだ異物系による作用の感じ。幸いシリンダーのメッキ部までは酷く削れてなかったのでこちらは耐水ペーパー修正で。


シリンダー側面の掃気ポート類も一部面白い位置にあったりします。しかし 距離の割に思った以上に吹き抜け跡もありますね(黒い筋がそうです)。やはりある程度高温下での運用を強いられているかもあるのでしょうが.......

こちらはシリンダーヘッド側。


KTM系のヘッドは面白い事に 燃焼室側とウォータージャケット挟んだ外側とこのように分離します。アフターチューニングパーツでこの燃焼室側だけ交換して圧縮変更できるようになっているのです。アプリリアのロードレーサーなんかも昔 こうなってましたね。tetsu乗ってた ホンダRS125やRS250は ヘッド丸ごと交換でしたがそちらが一般的な知見ですよね。
セパレートにする意味や利点がなにかはtetsuも知りえませんが ある意味凝ってますよね。ヘッドガスケットが無くて 水回りとの境目がOリングなのはホンダ RS125や250も同じです。
当時はこれ見て 「ガスケットないのかよ!」って感心したものでしたが(笑)。

そして問題のピストン。

吸気側

シリンダー側と同じ吸気側 ピストンスカート部にカジりの跡があります。ピストン側の方が材質的な関係上 シリンダーより削れてますね。一部それらの剥離したものがシリンダー側にも付着しておりましたし。

しかし それ以外には予想外に打音の原因になるほどの傷やアタりが外周見まわしてもありませんね。打音の一番の原因になる ピストンリングの固着等も見受けられないですし。この時点ではちょっと困惑気味でもあったtetsuでしたが 旧↔新ピストン見比べて 驚きの違いが。

部番変更ピストンは 製作工程、形状 と全て別物になっておりました。材質も同じアルミでしょうがなにか違うような感じも。

排気側


側面


下側より(左の旧ピストンの鍛造 マシニング加工の感じがカッコいいのですがね......)


見た目で大きな違いは 旧型=鍛造ピストン削り出し。対して 新型=鋳造ピストン型抜き。
形状では 吸気側、排気側とも スカート形状。更には 旧型は ピストンピン上部辺りに掃気ポート絡みとも思える 謎の窪みがピストン側面にありますが 新型はなく 一般的見慣れた形状ですね。
リングの違いは確認できませんでしたが やはりピストン形状の違い、これかなり大幅な違いです。
これほど違うのでやはり初期のピストン周りがなにかよろしくなかったのでしょう。
普通に考えると 鍛造ピストンにて削り出しの方がお金かかってますし 強度もあるでしょうに.....
しかも 旧モデルの方が スカート面積広いから首振りにも強い方向性なはずなのですが......
熱的膨張的問題なのか硬度等なのか、なにが問題だったのか不明ですが 現代 製作事前に行う 構造解析ソフトの能力をもってしても 計り知れない事例が出るということです。

と色々考えつつも これで謎の打音が消えてくれること期待。


腰下クランク側はキレイなもので、気になる点もなかったので ノータッチで順に戻していきます。


燃焼室もキレイキレイにてピッカピカに。街乗り車のようなカーボンバキバキこびりつきではないのでキレイにするのも楽ですね。



シリンダー乗っけて 以降 早くエンジンかけたかったので 写真ありませんが(笑)。

組み上がり、エンジン始動。見事に打音もなくなり普通のエンジン音にもどりました。

これで Sinくん 5月の日野ハード 部長・主任 共々  ぶちかましてください!
怪我無い範囲でね.....

レギュレートレクチファイアが原因の故障が立て続け....

写真は スズキアドレスV125Sの レギュレートレクチファイアです。



表見は普通ですが 裏面、シリコンシーリングされている部分が一部剥離して内部金属見えてます(赤丸部分)。こういうのは表見でも壊れているのが分かるので納得なのですが....
そうはいけないケースも多々でして。

スズキの呼び名はただのレクチファイアですが やっていることはレギュレートとレクチファイアです。
大きい車両のも大抵このような形状をしているものが多いです。
熱を持つため 放熱の為のフィンが装着されており、車体に装着されている部分も 比較的風通りがいい箇所に装着されているケースが通常です。

この機器を簡単に説明すると 発電電圧をバッテリーに充電させるためある一定の電圧に落としつつ制御する & AC電流をDC電流に変換しております。やっている順番は機器内では逆なのかもですが名前上の順番で書いてみました(笑)。

ここ一か月立て続けに定期的に交換に陥る車両が続きました(祭りではありませんよ(苦笑)。
ドカ S4、アドレスV125系 2台、アドレス V100と.......

壊れるパターンも 様々ですが大別 二通り。
①バッテリーが充電しなくなる(レクチファイア内 不動通)
②バッテリー過充電によりバッテリー死亡(レギュレータ制御側不能になる)

①のパターンはV125やドカのようにバッテリー点火車の場合 そのうちエンジン停止して走れなくなってしまいます。充電できてないので ある意味 ラジコン車のバッテリーと同じになってしまうってこと。
②の場合の方が厄介で 過充電なので 本来 13~14Vで充電されなければいけないところ それ以上に充電電圧があがってしまうようになるというもの。15Vくらいまではまだなんとかバッテリーももちこたえられますが 16V以上になると 普通に急速充電以上の電圧を絶えず流され続けるので 距離を走る人ほど バッテリーは酷な状態となり 最後は熱膨張によりバッテリーが死亡して終わります。
初期症状時に発見できれば バッテリーも生き延びられますが そういうのは稀なのが悲しいところです。一気に 制御できなくなって20Vくらい流れると ヘッドライト等の球がエンジン回転上げると 切れてしまう事である程度判明するのですが 一気にそう壊れるのがほぼないのですね。

写真の元故障車両は原因は①で充電不良により 最終的に走行不可能になりましたがバッテリーは助かりました。

まったく 余談ですが よく「外車は電装弱い」特に充電系が弱いとかの情報が世の中流れてますが tetsuに言わせれば 構造上 どのメーカー、どの国の電装も壊れる時は壊れますから。
ドカなんてここ何十年 国産日本製の充電系ですしね。
日本製が壊れない?  そんな事ありませんから(笑)。

こればかしは 乗り手や乗り方でどうのはありませんしね。
でも tetsu個人的にもこういうトラブルの修理はやはり嬉しくないですね(っていうかそもそも 嬉しい修理なんてないですが......)。
前述 ②の場合ですと レギュレータの他にバッテリーも交換に陥るパターンもあるのでね....
古い車両で心配な方は やはり電圧計を装着するのをおススメします。

みなさん注意しましょう....とは言えない内容でしたが こういう事がありますよとお知りおきを。