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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

アドレスV125 のたまに困ったアルアル.....

昨年暮れに作業した内容ですが 初作業ご依頼の ご近所 スズキ アドレスV125Gさん。2005年の初期型ですね。「一番速い」とされる型です。それはさておき オーナー様 3年ほど前から たまにエンジンが始動できない事に悩まされて それまで他のバイク屋さんに相談したり ご自分でも見れるところは点検、整備されてきたようですが その症状治らず それが最近悪化してきたとのこと。たまたま当ブログの昔上げていたV125の修理についた記事を見て ご相談に来られました。

初来店時は エンジンが始動できている状態でしたが その状態ではすこぶる調子良さそうでした。ワンオーナー、距離も まだ19000kmほどですから まだまだこれからですしね。ただ この時は出先から帰る際にエンジンが不始動になり 押して帰る途中、再始動したらかかったのでその足でご来店したと言っていたので やはり 車体になにか病はありそうです。


これまでの整備経緯等をお聞きして tetsu経験的には V125系で「たまにアルアル」病の クランクポジションセンサー不良な感じでした。
ただ このセンサー、以前の記事にも書きましたが あからさまに断線や回路間抵抗不良等が見られれば一発で解りますが 微妙に壊れかかっているものは 断定しがたいものなのです(経験上)。センサーまでの信号が不良なら FIエラーとしてメーター側に表示してくれる便利機能があるのですがこれも 壊れ方によっては エラー表示できないので 自ずとアナログ淘汰で探るしかないのですね......

ただ 今まで同様の症状のV125 4台ほど(そのうち2台はFIエラーが出てましたが)は全部 このクランクポジションセンサーが悪者でした。

で、お預かりの時点で 運よく(変な言い方ですが) エンジンが不始動状態になってくれましてそのままレッカー搬送に。このまま お店でも始動不良のままでいてくれればこちらとしては 診断しやすいのです。

到着して早速 メインキーオン。通常ルーチンの燃料ポンプ音とFIランプ初期点灯後 消灯してそこまでは普通の状態ですね。そこからセルスイッチを10秒ほど 二回い別けて押しましたが 始動しません! ここで 何回か メインキーをオンオフを繰り返し 再始動してみましたら エンジン始動しましたね~。 益々 経験上 クランクポジションセンサーが怪しいです。再度 キーオフしてもう一度 キーオンにしてもまた始動できませんし。とその時 FIランプを見ていると FIエラーの点滅がしてました。こうなってくれていると一応は助かるのは ECU内で記録したエラーの具体的内容を診る事で 現在症状での不具合部分の特定がある程度できるのです。
で、エラーコードを取り出して見ましたら やはり 現状エラーはクランクポジションの信号に異常がある模様との事。その他 2つくらい別のエラー表示がありましたがそれは過去エラーを消去していないような内容でもあったので今回の件に関しては 関与せずで。
で、テスターにて回路間抵抗を計測したところ 表示しません。回路内破損での遮断もしくは断線しているということです。

そして恒例 お立ち台に乗り 外しずらい 右ファンカバーを車体をジャッキで持ち上げていき外していき クランクポジションセンサーの配線を外して行く時点で 原因発覚。エンジン側から外に出てくる部分で センサー配線が断線しておりました。おそらく 最後の数本がほぼ切れかかっていたのでしょうね(お店でエンジンかかったのは奇跡的ってことです)。

でも 三年前からこの状態で走行はできないので その頃は単に クランクポジションセンサーの不良が起こっていたと推測されます。

ジェネレターカバー外した図。
黄色丸印がクランクポジションセンサーです。




バッツリ切れてますね。

V125の場合は 発電する部分のステータと配線が組まれている部品なので 発電側に問題なくてもステータ丸ごと交換となってしまいます。
勿論 この手の製品の新品は メーカー純正品交換です!
安い外品の 謎の表記な「台湾スズキ純正品」などはもしそれて修理できたとしても 後々 トラブルが出た際に真っ先に疑われるので修理に遠回りになるし保証もないのでオススメできません。
現物装着されている車両を触ったことありますが、カプラ部分が純正と違ってオスカプラでなければいけないのにメスカプラとかになっていたり 必要抵抗値が全く足りてなかったりという tetsu的には超怪しい製品でした...... ま、こういう重要部品は 「純正」がいいですよというお話。基本的には 間違いないのでね。
で、本題戻りまして。

ここからは恒例のカバーに付着する「人生はガスケット剥がしだよ」を経て 新品に交換して後は流れ作業で組み立て。
無事エンジンは始動できました。過去エラーも含めて エラー消去もしておきました。
これでしばらく何事もなく乗れることでしょう。

因みにこの後 この作業をこの車両含め 3台やることになるとは.....(汗)
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2021年 仕事初め

皆様、本年もどうぞ宜しくお願いいたします。


伊東二輪の2021年が本日より始まりました。
新年早々 昨年からの予約作業 Todayのハンドルスイッチ交換、GSXR600 ブレーキ修理の2台以外にも Today FのパンクにアドレスV125Sグリップヒータ修理、MT03 点検修正 等 急患作業依頼、&種々の 先予約作業依頼 頂き 多忙な新年初仕事となりました。
昨年から新年にかけても 店内満車は変わらずです(汗).....
毎年同じ事を思いますが...... 詰め詰めな一年にならないよう 心がけていきたいと思います(現実は難しいか......)
さぁ なにからやりますかな!

SR400 諸々 納車前整備


常連さん Yossyさんのご依頼でお探しした ヤマハ SR400。こだわりの 排気ガス規制前のキャブ、ドラムブレーキ仕様の頃のです。1999年までが該当しますが 当該車両は 1997年。
ウィンカー、テールランプ、ミラー以外 ほぼノーマルの 実走 5600km車でした。
各部 SRお約束のサビ等はありましたが それでも近年見た車両でもキレイな部類で まともでもあります。
経年考えると 走らなすぎの車両も考えものですが それよりも SR400のこの頃の年式自体、まともな個体を探す方が困難でして 大多数は「超改造」されていたり「魔改造」されていたり「終わりの改造」されていたり..... しかも 車体の特性上なのか DIY改造車も多く そのまま車検を通らないものばかりです。メーターまで改造されているものは その車体が何キロ走っているか分からないというのも当たり前。
yossyさんは 後々改造もするので、そこそこ改造されている車両でも可でしたが、上記のような車両を安く買うのは 後々のトラブル発生等 ランニングコストを考えても 買わない方がいいという主義のtetsuなので お探ししている時も tetsu天秤にかかるものでない限り 仕入れには消極的でした。

そんな中 偶然 見つけ出せた車両でした。エンジンは始動できていましたが 今一調子悪いので キャブレターはオーバーホール。その後 調子も普通に戻り 気になるエンジン音もなく まとまりの良い車両でしたね。距離も少ない車両でしたので車体もしっかりしていて乗り心地も「あ~これぞSR!」って感じで いい感じでしたね。
そして yossyさんの要望にて 通常納車前整備以外のご依頼もありまして。


SRの泣き所の一つとも言える リヤスイングアーム ピボット部のグリスアップです。この部分、元々は ニップルからグリスを押し込んで行けるようになってますが 実際は全てのところにグリスがいきわたるのか 疑問なのと そもそも古いグリスを残していくというのも考え物ですし、なによりピボットシャフト自体 サビますから tetsu的には定期的(出来れば 車検前もしくは2年に一度)にここをバラバラにしてグリスアップすることが必要です。使用環境や駐輪環境でも大きく左右されるこの箇所。怠っていると 最悪はスイングアームピボットシャフトが抜けなくなり スイングアーム破壊という選択肢しかできなくなることも多々です。
tetsuも実際、大昔に一度 そのようにして取り外した SRがありましたので ホント外すまでは憂鬱なんです(汗)。

で、当該車両は走行距離通りもありましたが 保管環境も良かったのでしょう ピボットシャフトはすんなり抜けてくれました。一部サビもありますが これくらいはカワイイもので問題外です(苦笑)。いい状態ですね。とはいえ グリスは「塗ってある」程度ですが.......

シャフトの一部 上向きに向いている穴が ニップルから回ってくる グリスの通路です。
シャフトの外周にもう一つ スイングアーム内に入っている カラーがあります。そこにも同じような穴が開いています。という構造ですが しっかりグリス封入するならバラした方が確実だと思ってます。

外したスイングアーム&ピボット部のベアリングとインナーカラー。どれも状態いいですね。
でも グリスは「塗ってある」程度ですが......



ウォータープルーフグリスまみれにして戻しますので その図の写真はありません(笑)。
だって 手がベトベトでいちいち写真のために手を拭くのが面倒なので(苦笑)。

こちらは依頼外ですが、ついでにブレーキペダルシャフトを抜いて ここもグリスアップ。この部分の整備はスイングアームが無い状態が一番効率よく作業ができますので。
ここも保管状態がよろしくない車両はグリス切れにてブレーキのタッチや戻りが悪くなりますね。


更に タイヤ交換。当該車両は新車当時のメッツェラーのOEMタイヤが前後入っておりましたので勿論 交換。いくらタイヤの溝がまだまだあっても 20年以上経ったタイヤはただの石です......。そしてチューブも一緒に交換しましょう。



更に こちらも tetsu独断整備ですがSRでアルアルトラブルが出るところ。
タコメータワイヤーがエンジン側に装着されている箇所。

SRは機械式タコメータですので ワイヤー駆動です。エンジン回転数取り出しはカムシャフトなのでヘッドカバーにメータケーブルが取り付けられますがこの部分が 経年取り外してないうちに 水や汚れ等で サビや腐食にてケーブル本体が固着して抜けなくなる事例があります。そうなるとかなり面倒な事になります。
いろいろありますが メーターケーブルがヘッドカバー側の根元で折れるという悲劇.....とか。
またケーブルは切れてないけど アウター側がやはり固着して根元を残して 外側のビニール部分だけ取れてしまうとか(悲)。
これらはどれも最終的にヘッドカバーを取り外さないと その後の作業ができない運命となりますが、SR..... ヘッドカバーを外すのに エンジンをフレームから外さないといけないのです(涙)。
厳密には エンジンをずらせばとれますが ほぼエンジン降ろすのと 行程は同じなので やはり普通の作業ではないですよね(苦笑)。


という悲劇にならないよう ワイヤーも全部引き抜き 全部グリスアップです。
勿論 エンデューロ車両でつかっている ベルレイ ウォータープルーフグリスを存分に塗り込んでおきました。
無事 登録も終わり 年内に納車できて良かったです。
yossyさん 正月は楽しくのってください。