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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

996 納車整備 其の三


タイヤ交換もありますが、リヤ周りがこんな構造ですので リヤブレーキ周りのセミオーバーホールやブレーキオイルの交換等 この状態の方が遥かに作業能率がいいです。
この延長でリヤ整備で996系で特に注意が必要なのが 車高調整用のロッド。純正で リヤサスリンクに直結したロッドの長さを変える事により車高を容易に調整できるものです。

元々 前モデル 851時代から方式は違えど 車高調整機能をリヤに持たせてました。
この手のSBKはそのサスペンションの硬さからか 当時乗られている多数の方が セッティングを柔らかい方向にしていました。当該車両も入庫時に診たときには 前後サスとも ほぼ抜き抜きセットになっていました。確かに フワフワ動いて 乗り心地はよくなりますが、あまりに減衰力を抜きすぎな状態では 本来の996の持つ 「レールの上を走るような」レーサー走りが隠れてしまいますので 勿体ない話なのですが.......
で、これに付随して 乗車姿勢もノーマルは結構前のめりになりますので それを嫌って リヤの車高を最大限落としている車両も多いです。
当該車両は車高調整ロッドは一度も触ったことないようでした。
で、このロッド。調整部分のピロボール部が鉄、ロッド側と調整ナットがアルミで出来ている関係上 長い期間 調整等で調整部分を回してないと 各部が固着してしまっているのがほとんどです。
調整ナット、ロッド自体は 17mmと19mmのスパナで出来るのですが 部材がアルミ材の為これを車体に装着状態で無理に回そうとすると かなりの確率で ナットがナメてしまいます。
それを回避するため 納車前は 一回車体からロッドを外して 万力を駆使して全部を緩めるようにしてます。

今回の車両は初めはビクとも動かなったですが 試行錯誤に時間をかけたおかげで完璧に回せるようになりました。
ネジ部、ナット部にスレッドコンパウンドを塗布して締め込み、緩めるの動作を数回やって 再装着完了です。
あ、因みに この調整ロッド、よっぽどレースの現場ではない限り 車体の自重をかけたままの調整はなるべくなら避けた方がよろしいでしょうね。それも ネジ部を痛める原因になりますので。
このような 単純そうでもその車体個々の特徴部分を診ておく事も必要なのが 納車前整備と思っております。
無事 全ての整備も完了して 先週末に納車されました。新オーナー様 オールドドカSBK車両の楽しさを堪能してください!
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996 納車整備 其の二

基本的な納車前整備は空冷2Vと同じですが、各エンジンユニットや車両特性の方向性で診ておくところも違います。996は街乗りとはいえ 当時の高性能重視な車体造りです。

それにしても現在でも色あせないこの車体デザイン。
少し話はそれますが、このスタイリングは レース重視でこうなった訳ではない有名なお話しがあります。916の生みの親 故 マッシモタンブリーニ氏が先にこのデザイン案を出し、エンジニアに 形になるようまとめさせたらしいです。当時センセーショネルだった 「センターアップマフラー」も性能は造ってみたら後からついてきたっていう......ウソのような本当の話。 片持ちスイングアームも耐久レースを意識してる?なんて言われてましたが ドゥカティ陣営ではそんなのは眼中になかったようで やはり全ては 「スタイリングありき」というところが なんともイタリア魂入っていると言えます。916デビューの1994年 当時賛否両論だった 左右非対称のヘッドライトとライト点灯時の左右独立も どれも世界初でしたのでね。


そんな製作者の意気込みとそれを公道走らせるように工夫した苦労したであろう 雰囲気がバラシていっても随所にありまして 前述したように 空冷ユニットと違い水冷ユニットの方がタイベル周りに整備には時間がかかります。なにが面倒だって 右側のベルトカバー側に バッテリーその他の電装補器類が密集して載ってます。タイベル交換にはここいら辺をかいくぐっていかないといけません。
ただし このような状態に持っていくのは 最初から「ヤル気」を出していれば なんのことはなく到達できるのは 案外整備性はいいとも言えます。
とはいえ 外装バラシから要所要所は 経験値がモノを言う箇所もありますので そこは同型車の 996R所有のtetsuの強みでもあります。

タイベル交換、クラッチフルオーバーホールと診て行き 当該車両は どこも初めて tetsuがバラすようです。走行約1万キロ車で特に激しく走っていた経歴もない車両でしたので どこも問題はなかったですね。ラジエタークーラントは入れ替えておきます。エンジンオイル、オイルフィルターも新品交換。
エンジン周りの要所は終わりましたので 足回りに行きます。
其の三に続く

996 納車整備 其の一


店頭売り前に売約済みになってしまったドカの996 納車整備の図です。
996はドカのオールドSBK(スーパーバイクの略です)の一時代を築いたシリーズ後半に位置する車両で この頃搭載されていた水冷ユニットの通称 「デスモクワトロエンジン」も色々な改良が施されて安定期に入ってきたころの車両です。特に2000年式からはホイールも当時のレーサーと同スタイルのマルケジーニ5本スポーク仕様になってより見た目もカッコよくなりました。
当該車両はtetsuの996Rと同じ 2001年。996シリーズの最終モデルとなります。あ、因みに当該車両は前オーナーの趣味性で シートカウルのみ同年式の996Sの物に換装されております。白ゼッケンの憧れの方も多かったのがうなずけるスタイリングですのでね。
tetsuも個人的に916系、通称 「タンブリーニデザイン」の車両が好きなのもあり この手の車両は本当に「憧れで乗りたかった」っていう人に乗って欲しかったので今回のオーナー様はうってつけでしたのでこちらとしても嬉しいかぎりです。
乗りやすいとは全く言えない 地獄のポジション(慣れている方は大丈夫でしょうが)、低速での乗り心地は一切無視の 硬いサスセット。割り切りの販売当初からの一人乗り仕様(サスセットもそうなってます)、整備性の良さと悪さが混在する 割り切りかた(レーサーを想像するとかなり合理的で納得の構造ですが) どれも国産車とは一線を画しいる感性なのが 乗り手をヤル気にさせてくれます。
tetsuが初めて自分の996Rで公道走り始める第一印象が 「レーサー?」と感じさせるほどの 車体全体雰囲気なのを今でも忘れません。そのままサーキット持って行っても 不満なく走れるところにリアルSBKな線を感じました。なので 今でも パッと乗って凄く楽しい車両です。

とこんな性格の車両なので 納車整備の時も 空冷2Vエンジンの整備とは全く違った部分までも診なければいけません。 項目も多く また整備性の問題もあるので時には時間もかかる箇所があります。しかし これをやっておき 乗り手が使用環境や走らせ方を間違えなければ 大きな問題もなく空冷ユニットと同じように走っていくことも可能です。
其の二に続く

タイヤ交換Day

朝一にレーサー仕様のドカ M900ieの新品タイヤ交換。ピレリ ディアブロスーパーコルサV2
ですね。


夕方に同じオーナーさん MrTがM900ieから取り外した前後タイヤを街乗り車両の998Rに移植.....

こんな事を一年に一度ほど オーナー MrTはやっております。
同じサイズのホイールだからこそ成せる技ですが。

一度で二度の人生があるタイヤ達ですが....... この図式でいくと 998Rはいつまで経っても新品タイヤが導入されないっていう(笑)!

スーパーカブ50 ボアアップ

 
スーパーカブ50乗りのお客様が原付小型の免許を取得したとのことで 合法ボアアップを希望してきました。あまり派手にしたくないとの事で キタコのライトボアアップキットにて施工することに。
このキットは商品価格 1万円ほどでマフラーやキャブを変える事なく 排気量75ccの豊かなトルクの走りに変わりリーズナブルにボアアップを体感できるキットで 伊東二輪ではご推奨品です。
造りもよく今のところ「要加工」にて装着となったことはありません。必要なガスケット類も全て入っているので 作業も滞りなく進めば一日で施工完了となります。
とはいえ カブのボアアップでなにが一番時間がかかるかと言うと、ガスケット剥がしです。
それともう一つ...... シリンダーヘッドとシリンダーの間、並びにケースとの間に入っている ノックピンが外れない時も厄介ですね。
キタコさん。できれば キットの中にガスケットのみでなく ノックピンも入れておいて欲しいっす。


取り外したノーマルシリンダー、ピストン達。

今回は 4つあるうちの一つだけ取り外せなかったですが 予備にとっておいた中古のノックピンがありましたのでそちらの流用で即日組み上げることができました。


シリンダーを組みつけた図。黄色丸印がノーマルピストンです。大きさの違いがわかります。


それにしても毎回バラす度にこのピストンの大きさで日々元気に走れているのには感心しますね。
改造申請を出して 晴れて黄色ナンバーで 高速車両の仲間入りですね。