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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

スーパーカブ90 放置車整備

13年ほど前に トラスト時代にご近所の学生くんに販売した ホンダのスーパーカブ90くん 。その後 そのお客様は社会人になり 数年前から群馬の方で仕事をするようになりカブもそちらで稼働していたよう。そんな彼が 久しぶりに来店と思ったら そのカブの整備の依頼でした。

東京に戻ってきたけど カブはまだ群馬にあって それをどうしようかという相談でした。群馬でしばらく乗っていたようですが なにやら調子が悪くなってきて 放置グセがついてからが約3年ほどと。
でも忘れた頃にエンジンは始動していたとの事なので まずは こっちまで持ってきて見て診ようということに。

元々 販売した時も外観はキレイな車両ではなかったですが機関はしっかりしていたので その後も同オーナーが激しく使用していないのも知っていたので そこそこ手を入れれば復活は問題ないと推測できまして。
以前知っている時と何ら変わらない様相で(笑)。

で、まずはキャブレターのドレンから古いガソリンを抜こうと思ったら そういえば 本人が群馬からカブの状況を電話かけてきた際に 乗って行っていた車がルノーのカングーだったのを聞き そのままそれに積んで来るよう手法を教えました。その際 車内がガソリンまみれになるのを防ぐためにキャブレターからのガソリンの抜き方を教えたので、 向こうでしっかりガソリンは全部出してきたのを思い出しました。なんたって カングーに一人で横積みにさせたので(笑)。
ということで そのままガソリン投入にて数回キックでエンジンは始動。以前と変わらず それほど気になる異音もしないのでそのまま修理する方向で決まりました。
とはいえ 元々付いていたはずのパワーフィルターはもげてなくなって久しいようですし、キャブレター周りもパッキン類の劣化で燃料が滲み飛んで 真っ黒になってますので キャブレターOH兼ねてパッキン類も全交換です。カブ系のここは数年に一度は交換してあげてないと汚れが落ちなくなるくらいキャブやその下のシリンダーヘッドが真っ黒になってしまいます。

取り外した キャブ周り。
真っ黒で汚いですな。先に落とせるだけ汚れ落としてから パッキン交換です。
当該カブは1990年代前半辺りの車両でして キャブレター取り付け部にワナがあります。通常 キャブレターを外す際に キャブからヘッドに接続しているインレットパイプからキャブを外すのですがこの頃のはその部分の取り付けがキャブレター本体にネジが切ってありネジが直接キャブを締め付けてます。写真の赤丸印部です。
後期モデルはこの部分が ボルト・ナット法式になるので格段に信頼性アップします。

この部分が非常にデリケートでして数度と取り外しがされた物はキャブ側のネジがナメてしまって空回りしてしまう物が多々あります。のでそうなるのを回避するのにヘッド側のインレットパイプごと取り外しました。



インテーク側からの写真ですが、パワーフィルターが無くなったまま走行していたのでかなり汚れてますね。


残る汚れを落としながら開けた キャブですが、フロート室内はキレイなもので。でもカブは侮れないのが普通にエンジンかかっていたものでキャブを開けたら 「超汚い」なんていうのもあったりするのが恐ろしいです。違った意味で流石 「世界のカブ」です。組み上げて パワーフィルターも新調。再始動も問題なく調子いいですね。エアースクリュー調整等してこの辺は完了。


その他 接触が悪くなったメインキー交換、テールバルブが煩雑に切れるため社外のテールランプ一式をノーマル一式に交換。この辺は 古い車両になると部品入手が極端に難しい ホンダでも流石のカブだけはまだ入手可能なのが 唯一許せるところですが.......
前後タイヤも交換してリフレッシュして これからも調子よく乗れそうです。
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900SL スタータワンウェイ 交換

当店お客様ご紹介で 先日 色々修理でお預かりしました ドカの900SLさん。ご来店当日に エンジン始動できなく電話で症状を聞いていると スタータワンウェイが滑っているようでした。
本来お預かり前はこの修理予定は入ってなかったのですが 聞いていると どうも以前から冷間時始動時に 症状が出ていた模様でした。
とはいえ この症状に出くわした人でないと 初期症状では判断つかないでしょうね。初期はセル始動を何回か試みると ワンウェイが噛む事が多いので。それに 暖かい時期も分かりづらいのでしょうがないですね。 ということでレッカー搬送にてお預かり。


症状はその通りでした。後日 発注した部品が到着。左ケース開けます。

空冷は 水がないのでこの部分をバラすのはドカの水冷系やるより遥かに楽で早いです。


このフライホイールの裏側にワンウェイクラッチが入ってます。

以前にもワンウェイネタは他車両でも書きましたが この故障はドカに限らず 同じような構造をとっているあらゆる車両になりえます。ただ それが起きやすい車両と比較的 長期間乗っても 起きづらい車両があるのも確かです。
どれも言えるのは、①弱いバッテリーで始動 ②セルボタンをチョン押しで複数回で始動 ③セル始動回数が多い(アイドルストップ併用とか) でしょうか。 特に ①は ドカは高年式でも 最大の注意点です。ただでさえバッテリー容量が最小限のものしか積まれてないドカは 弱いバッテリーでの始動は命取りです。更に 追い打ちをかけるのが エンジン冷間時や 冬場は顕著に影響します。

外したフライホイール。



左が新品のワンウェイクラッチです。先日紹介したKTMのと同じ形状の方式です。

新品組んで フライホイール戻して 点火させずの セル空回しで問題なくクランキングしますので修理完了。
みなさまも セル始動時に セルモーターのみが「ウィーン」と言って 空回りする症状が出始めた場合は 早期の対応にて修理するよう心掛けてください。そうしないと 他の部品に多大に出費することになりますので。

690 ENDURO R 気になっていた整備 其の二

で、このサブフレームタンクには装着されている物も多く、マフラーはまだ取り外せるのでいいのですが テール周りへの配線始め、バッテリーも乗っかってまして その他690EDRはインジェクションなので当然燃料ポンプ搭載。で、サブフレーム周りに全てが行ってますので 完璧に取り外すにはこれらの接続を全て外さないといけません。
この前提で作業するのは更に時間と労力がかかるので tetsuはそんなのしません(苦笑)。

ま、試行錯誤すれば意外と全外しせずに出来るのですが どちらにしろ 上部側より下部側の交換が面倒でして......


まずは上部側。こちらは 外側からボルトにはめ込んで サブフレームに刺さっているので 片側づつ慎重にやれば問題なし。

こんな風に入ってます。
取り外した樹脂カラーは既に粉砕始まってました(アブナ~汗)


新品との比較。一番右のオレンジ色の物が新品です。

そして下部です。
下部側は サブフレームを上に持ち上げる必要があり 様々な工夫で持ち上げます。がしかし その前に立ちはだかる面倒な事がありまして。
ここの部分 左右からボルトでフレームに固定しているのですが ボルトは左右で独立していて 内部に貫通しているフレーム幅のカラーがあります。これの左右にボルトが入るネジ山があります。このカラーが左右に入る樹脂が支えている仕組みです。

で、なにが面倒かって 左右からボルトを締めこんでいるため 片側はなんとか緩むんですがもう片側が緩まないんです。この場合片側は内部のカラーごと空回りしてしまうんですね。
これ ホント頭くるんです。以前に O先生の690EDやった時もなかなか緩まなくて先に作業が進まなくて 泣きそうでした(泣)。で、なんやかんや人海戦術にてあれやこれや技を駆使して取り外します。これ 本当にこの部分が腐ってしまった場合は破壊意外にはとれないのでは?とヒヤヒヤしますね。
tetsu号はそこまでは苦労せす緩んでくれました。
上部写真の内部に見えるのが問題のカラーです。



樹脂カラーを抜いたところ。



新旧の違い。新品は回り止めにするためか 点接触にする意味か 新品の方は 多角形の外観になってます。
こちらは痩せているくらいでまだ形を保ってました。

とこんな物達がサブフレームへの振動を受け止めているわけで これらをおなざりにしていると サブフレーム側のこれらが装着されている部分に負担がかかりその本体自体が変形もしくは破損に追いやられるわけなんです。定期交換マストです。

そして ここまでやったら 勿論 リンク、スイングアーム周りもやるわけです。
690EDRは この部分の整備性も 正直結構面倒であり 作業間の写真はほぼありませぬ。毎度 そんな写真を撮っている場合でなくなってしまうのです。

でも ベアリング周りの防塵防水処理は エンデューロレーサーと変わらぬ造りをさせているのは流石の一言。こういう部分は国産車よりお金かかっているのが目に見えていいですね。

リンク周りにベアリング、カラーも特に問題なく 再度グリスアップにて再組み込み。

サスもこの当時のEXC系のと同じ WPのレーサー然とし同型搭載。
この辺の定期整備を怠ってなければ随分と長きに渡り 戦闘力を維持できるってものです。
なんとか無事にワンデーでここまでの作業完了。しばらく同じ作業はやりたくないです.....
今度はいつか ステアリングステム周りのグリスアップしなければです(いつになるか....)

現在の世情が良き方向に向いてきた日には 久しぶりに林道中にも行きたいものです。

690 ENDURO R 気になっていた整備 其の一

丁度 大雨の日に 他預かり作業も部品待ちで 滞っていたので 前々からやりたかった 自分の林道バイク KTM 690EDRの整備です。丁度 不要不急での外出自粛もあり エンデューロ練習も止めてますので 自ずとそちら側の車両の整備を必要としてないのもありますが それよりも 今回の作業は かなり集中できないと自分の車両(特に街乗り車)では「無理」ってなる内容なので思い切りと時間が必要だったので ホント たまたま時間が空いて良かったのです。勿論 お客様のはブツブツ言わず やりますよ(笑)。自分のはホントやりたくないんです(マジ)。


tetsu号は EDR最初期の 2009年モデル。伊東二輪開店と同時に入手して早 5年目。手元に来た時は 走行約5000kmでしたが現在 14000km。最初に要所のグリスアップはしましたが それ以来ほぼ 林道中での使用でオイル交換やブレーキ周り整備、タイヤ交換くらいで(あ、そういえば 昨年 スーパー林道中一週間前にフロントフォークシール抜けて交換もありました  苦笑)。
いい加減 要所のメンテをしてあげないと可哀そうで.....

その要所も 他 エンデューロ車両と同じく ステム周りやリンク、スイングアーム周りのグリスアップは勿論なのですが 690EDRは定期的に交換しておかないといけない重要部分があります。
今回もこの部分が一番 気になっていたところです。昨年のスーパー林道中でも気にしていた箇所です。走行中に粉砕したらそれは恐ろしい箇所なのです.....(笑えません)。

690EDRは 御覧の通りオフ車では珍しい トラスフレームです。tetsuが気に入っているところでもあります。KTMのラリー専用車、450RALLYも これと同様トラスフレームです。下記参照写真(450RALLYワークス車)



それにしても やはりレーサーはどれ見ても カッコイイですな。機能美を追求しているからですかね。

で、このトラスフレームの構造上 燃料タンクの行き場が通常の位置ではないのですね。オフ車 単気筒の性質上 フレーム幅は細くしたいので この部分に載せるのには無理があります(とは言いながら 450ラリーは前部にも積んでおります)。
で、どこに行ったかと言うと 基本 シート下の所謂 サブフレーム部分が全部 燃料タンクとなっております。これポリアミド樹脂というので成型されてまして 強度等も十分あるのです。ハスクバーナのレーサーのサブフレームもこれです(燃料タンクは通常位置ですが)。最近では国産車やドカとかでもサブフレームの一部がこれになっている物が出てきましたね。
話しはそれましたが 690EDRはこの部分に約 12L燃料入ります。450ラリーは 同じ箇所で18L入るそうです。因みに 450ラリーはその他の部分合わせて 約33L積載しているそう。
で、問題は この部分とメインフレームを接続している部分に 振動対策による樹脂カラーが入っているのですが これが経年劣化と振動で最終的に崩壊してしまいます(怖)。


その樹脂カラーは 写真黄色丸印部分に入っております。
この二点で燃料タンク兼サブフレームを支えてますが、何気に 普通のシートレールと同じで 二点留めなのですが かかる重量が違います。そもそも更に荷物積んで 林道でドッタンバッタン走ってますのでどんだけストレスがかかっているかわかりません...... ということで交換作業に入ります。

其の二に続く

31年来の掛け時計 其の二

意外とすんなりバラしていけました。針がただ刺さってる(はめ込んである)のも意外でした。

で、こんなバラバラ状態。


下の写真の黒い四角い物体が ムーブメントですね。
バラす時に勢い余って 内部のギアが飛び出てしまってますが、もぅ使わないのでゴメンよ!
30年間 お疲れ様。
それにしても 外枠なくても これに針つけて動かすと 「エアー時計」が出来上がる仕組みでもあります。
時間解らないけど(笑)。


さてさて、このムーブメントも調べてみると 色々タイプや種類があって 選ぶ要は 中心の針が乗る部分のシャフト外径と その部分の高さです。シャフトが太い分には文字盤の取り付け穴を大きくすればいいですが 逆に細すぎる場合 センター出せませんし。
また高さが高すぎると 表面のガラスに当たってしまうので その点を踏まえて 元の装着されていたムーブメントの寸法測りました。

外したムーブメントに製造会社名等明記ありませんでした。昔はシチズンのムーブメントもあったようですが 今では普通では入手できない模様。
なので ネット検索を駆使。装着できそうで信用できそうなムーブメントは結構すぐに見つかりましたが、問題は針でした。

針も元々の物が使えるとは限らないらしく ムーブメントは買ったはいいけど針が合わなく結局後から追加購入ってパターンが多いようだったので ここは安パイで針も購入。
としたかったのですが、ここで困ったのが 当該時計の針の長さと同類の物がほぼなかったのです(泣)。
当該時計自体の大きさは 約30センチなので 針も相応に長い方なのですが これに順当する針が全くなく どれも短い物ばかりになってしまうのです。長すぎる分には 切ればいいのですがそれすらできない...... で、根気よく探していたら 長さはほぼ同じ物を発見したのですが 針色がゴールドっていうのと形状もなにかこじゃれた形状で tetsu好みと正反対でダメです。色は塗ってしまえばいいですが形状はどうすることも出来ないので。
針は元々のと同じような「シンプル イズ ベスト」で なんのヘンテツもない 真っ黒棒が理想でしたので。

で、結局 謎の中華製ムーブメントと針のセットで バッチリに近い物を発見。これで組んでみることに。
「謎」というところがミソで 要は 「出たとこ勝負」です(笑)。
懸念されるのは やはり 組んで動いたはいいが 一日で10分狂うとかアルアルそうなので.....そうなったら時計丸ごと買い替えます(笑)。

そして 物が来て仮組してみます。(装着前の写真撮り忘れました)シャフト径 10mmと書いてあったのにいざ装着してみると少し緩い.....約 9mmではないか? ま、中華なので動けば許してやろう。
高さも微妙に事前データより高かったですが ギリ 表のガラスに当たらないのを確認。当たったらスペーサで対処もありだけど.....
針を慎重に且つ大胆に(なかなか入らないんですもの)組み込んでいき いざ電池を入れようとしたら 単三電池の入るスペースが狭い!!(怒)普通に入らん!! 「出た出た~!」とボヤきつつマイナスドライバーでこじりながら入れたら 時計は動きはじめました。因みにスイッチなんてないです。

組み上げている最中に表のガラスに入っていたヒビが全部つながって割れてしまいました。が、キレイに割れたので 裏と表で透明テープ貼って形状保ちつつ 再組み込みしました。
解らないでしょう? 時刻合わせて 10分ほど様子見。その間は狂いませんでしたよ(笑)。


そして一日経って 出社。ほぼ時間はずれてないので 今のところ 伊東二輪の手による修理復活は50%は成功したとしよう(苦笑) 後は 1か月後まで様子見ですな。それも組み込んだムーブメントにかかってますがね..... 
でも 復活していつものところに戻った見慣れた時計はやはり安心しますね。



そして 表向きは シチズンでも ナンチャッテになってしまったの図です(笑)。
言わなきゃ誰も解らないだろうけど(苦笑)

あ、ちゃんと仕事終わってからや合間のネタですからね(笑)。
ヒマな訳ではありませぬので.....