748R その④
では次にクラッチ全バラします。歴代の整備内容が解りませんので現状の状態を把握しておかないと方向性も見えませんのでね。特にスリッパ―クラッチ搭載車はより煩雑な点検、整備が必要です。
スリッパークラッチとはなんぞやと言うと多く説明するのは面倒なので 各自ググってください(笑)。簡単に言うと エンジンブレーキの時に後輪がロックしずらくする装置という、レースの世界から降臨してきた仕様です。今でこそ各国産SSも標準装備車が多いですが 2000年当時としては、748Rは既に 標準装備でした。当時の世界スーパースポーツ選手権の厳しいレギュレーションをかいくぐるためと言われておりました。(後で社外クラッチ機構にするのは違反とされていた。)
と、まずはプレッシャープレート外して クラッチプレート達を取り外します。ここまでは基本構造はスリッパ―でもSTDとなんら変わりません。スリッパー機構の構造上 クラッチプレートの材質が違うようですが 組み方 形状等に変わりはありません。
のはずですが.....クラッチプレートをバラシて行くと ??? なんか順番がメチャクチャなんですけど(汗)
正直 「意味不明」な順番で組まれていました。
当該車両に組み込まれていたのは、社外品の サーフレックス製。距離的に一度交換されてもおかしくはない距離ですが...... 交換してからも数千キロは走行しているであろう クラッチ外周の当たり具合でしたが..... とにかく、意味不明の組み方でもクラッチも切れるし、走りもしますが......
とりあえあずそれは後で組みなおす時に考えて先に進みます。
スリッパー機構部はインナードラム部分にあります。STDのスリッパー機構は「カム」方式と言って インナードラムの赤丸部分が凸のカムで、その受けが下写真の黄色丸印部分となります。
普通のクラッチハブは、この二枚の写真分が一体となっていると言えます。
このカム間で動くことにより 減速時のミッションへの反動を逃がしているのです。
その逃がすスピードや間隔を調整しているのが一番外側の大きいナットと共締めの「スパイダースプリング」です。
前オーナーもスリッパー機構はほぼ使用はしてないようでカム部分もグリスは切れてましたが、状態はキレイなものでした。
しっかりグリスアップして再組み込み。センターナットを規定の大トルクで締め付けておかないと後に外れてしまいますからね。
問題のクラッチプレート達。これは問題なく標準通り組みます。唯一 気になるのが、このサーフレックス社のクラッチ。特に上位機種に使用するケブラータイプの製品は停止状態からの初動時の激しいジャダーが出るものが多いです。これをなるべく起こらないようにするのも簡単ではありません。ひとまず 次に作業の インジェクションセッティング後の試走でクラッチの動作具合も診てみます。つづく.....
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