XR250 不調の原因は.....
今年の伊東二輪 「夏の一泊二日林道中」に参加し10月の DEEDEEイカさんツーリングでも共に走った パンやさんXRです。以前からたまに エンジンが不調になることを言っていて 症状は走るは走るのだけど低回転に向かってくる時にクラッチ切って惰性で走っているとエンジンストールするというもの。10月のツーリングでも帰りに症状が出ていたのですが、最近は冷間時エンジンスタートでからのアイドリングでの安定もままならないとの事でお預かり検証となりました。
基本的にエンジン本体が調子悪そうな気配ではないので、機械的要素ではない部分の気がします。定番のプラグやエアクリーナ等は昨年 本人が新品交換していてそれほど距離も重ねてませんのでそこ以外で考えられるところと言うと......
プラグキャップやコードのリークからキャブのスロー系の異常か、この年式に装着されている 排気ガスをより綺麗にするのに排気ポートに空気を流し込む装置の「AI」のゴム配管の一部に亀裂や切れがあるとか.....、後 アイドリング不安定になるもので他機種でも多いのが バルブのタペットクリアランスの詰まり....等が考えられます。遠い確率では 点火系の異常もありえますが.....
まずは外側から見れるところで キャップやコード類は特にそれで問題は起こりません。次にAIを検証してみましたがホース類や装置自体にも異常は見受けれれないため、装置を使わずの状態にしてエンジン始動してみます。
冷間時始動時からも一度しかエンジン止まらず 「お?これかな?」と思わせるこのでしたが、それでもどうもアイドリングが安定しませんし、ブリッピングの感触も今一な気がします。
10分ほど暖機してみましたが、ブリッピングからアクセル戻してエンジン止まったのは一度のみでしたが......この際なのでもう少し突っ込んで診てみます。
結構この「今一な感じ」って自分が感じている時の感覚は当たってますので。長年の経験で、人間の5感、いや第六感も含め馬鹿にできません。時には機械の判断より上な時があると思いますので。
で、次に タペットクリアランスを見ておきましょう。通常、この手の4サイクルエンジンは距離を乗って来ますと 自然とバルブ上部のタペットのクリアランスが広がる方向になりエンジンから「カチカチ」した音が出るようになります。これは構造上しょうがなく、この隙間には車種ごとにメーカー指定の許容隙間範囲があります。コレ以内に入っている場合は基本的にOKなのですが ここの隙間が広くなっていたり狭くなっていたりしてはエンジン不調の原因になるため、その場合この隙間を調整する手法が一般的とされます。
で、今回の場合 パンやXRくんはエンジンの音が走行環境の割りに(林道等で酷使されている)静かなエンジンです。正直 10分くらい暖気してもタペットの音がほぼ聞こえません。こういうエンジンはタペットクリアランスが狭い(それか新車時より変化が少ない)場合があり、これが狭すぎると エンジンが暖まった状態ですと 逆にバルブが閉まりきらなく現象ができて 圧縮不足によるエンジン不調となり特に低回転時に影響が出るようになります。
で、タンク外して吸気側、排気側とタペットカバーを外して見てみますと 吸気側は規定内でOKです。排気側は若干狭めでしたが許容ギリギリです。向かって右側の排気バルブのクリアランスのみ オートデコンプが着いているため測り方が違いますが この部分が一番狭かったですね。一応排気側のみ 一番許容が大きい方で再調整しておきます。でも.....これは原因ではないと思いました。今までのバルブ周りが原因でのエンジン不調はこのクリアランスがあからさまに狭い物ばかりでしたので......
と、ふとここでエンジン周りを眺めてあることに気が付きました。この車両、以前巷で流行った点火チューンの「ノロジーホットワイヤー」が装着されているのを。前オーナーが自分で着けていたものですが、どうゆうものかはここでは割愛します各自ググってください。で、こういった点火チューン品にたまにありがちなのが、これらの後付け部品が悪さをして不調を招いていることもあるということです。どんな車両もそうですが後から装着しているものはメーカーが出荷時に考えて装着したものではありませんので当然 色々な不調が出た場合には確率的にこちらに目が行きます。で、このホットワイヤーに適したプラグというのも当時販売されていてそれが「トルクマスター」という電極が沿面タイプのプラグです(NGKにも一部そういったプラグがありますが)。 昨年プラグを本人が交換したと言っていたけど ......と思い ピストンの上死点を出す為に外したプラグを見ましたら 見事にちゃんとトルクマスターを装着しておりました。今では入手困難なのをわざわざ探して購入したと後で言っておりました。
で、結果から申しますと。不調の原因はコレでした。カブっているわけではありません。逆に焼けすぎなくらい焼けてます。ただ単に「プラグ本体の不良」です。
ちなみに本体の周りのサビは不調には関係ありません。装着部と林道走っている宿命です。
このプラグが原因での不調の件に関しては、外品だからということではなく、信頼のNGKやデンソーさんでも新品プラグでも火が飛ばない....なんていうのを見てますので 珍しいことではないのですがそういうのは本当に稀でして.......やはり、外品の方が その点は確率が高いと言っても過言ではないとtetsuは思います。
しっかりエンジンかかって走っていると忘れがちになりますね。プラグキャップやコード側を疑っているだけでは発見できない「灯台下暗し」的な修理でした。
新品NGKプラグにして始動。冷間状態でもすぐに安定してアイドリングの状態もまろやかでいい感じです。その後の試走でも非常に乗りやすく、「元に戻りました」です。
ついでに、先日の林道で転んだ際に ヒドくひねれたフロント周りの修正もしておきました。
だって.....この時試走したら すご~っく!左にハンドルが向いているんですもの!!(笑)
今回の不調の原因は結果「点火系」でしたが 疑えばキリがない感じの不調はイヤですね。
パンやくん、これで来年も元気に林道中してくれたまえ!!
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