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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

GSF750 諸々修理 其の二

新品クラッチを淡々と組み こちらは難なく終了。その流れで 他依頼物のリヤブレーキパッド、ブレーキオイル交換もしておきます。

で、翌日 残りの部品が来たので エンジン周りに戻りバラバラにしていきます。このエンジンはスズキさんの一世風靡した 「油冷エンジン」。とはいえ、要は オイル冷却を積極的に行う工夫がなされた 空冷エンジンです。余計な装着物もなく キャブレター周りも取り外しやすい構造ですので 外すもの外していけば テンポよくバラしていけるのですが.....


オイル漏れの箇所はここ。ヘッドガスケットが要因ですね。おそらく 経年使用もありますが現在の使用環境上 過大なエンジン発熱と冷却を繰り返してますので ヘッド締め付けトルクが落ちてきたか..... メタルガスケットでも漏れるときは漏れますよね。空冷なのでこの辺はしょうがないとも言えますし......

でバラしの行く手を阻むのが これまた 当時のスズキさんならではの罠が随所にあり..... 一番難儀したのはエキパイのフランジボルトですね。昔から そうなのです.......この部分 スズキさんはスタッドボルト方式ではなく ヘッド側に目ネジがありボルトを直接ヘッドに締めこむタイプ。これが 一度も緩めてなかったり 下手な工具で以前に作業歴あったりすると 取り外すのに多大な苦労が発生します。時には ボルト緩まず折れたりもします。当該車両は 幸も不幸もありました.....
 
以前に一度エキパイは取り外したことがあるようでしたが、その時に使用した工具がよろしくなかったのか はたまた緩めるのに苦労してネジの頭(これはヘックス)が少々変形してしまっているものが数個ありまして..... なんとか全部とれましたが耐焼結グリスも塗ってなかったようで..... そりゃ苦労しますよ。こちらは組み立て時に全て新品交換します。


で、ここまでくれば空冷エンジンなので 上からドンドン剥がして行きますが、一般的な4サイクルエンジンにあるカムチェーンを都度回避していかなきゃいけません。しかも組み立てるときはその逆で......しかもこの子はセンターカムチェーンなので ちと面倒です。ドカならタイベル外せばバラすだけならあっという間なんですがね(900SSのようにその前にエンジン降ろさなきゃいけないのもありますが....これ毎回 笑えないっッス....) 


メーターは8000kmほどですがオーナー曰く 「走行不明」とのこと。その割に カム周り、ロッカーアームは傷やメッキ剥離もなくキレイでしたがね。



ヘッドガスケット漏れですがヘッド、シリンダーが共締めスタッドボルトなのでシリンダーベースガスケットまで交換です。のでシリンダーも抜き取りました図。



ピストンヘッド周りは 湿ったカーボンが蓄積してますが これは前述のように 使用環境がそういう風になりえるので しょうがないです。シリンダー内も以前に 長期放置のためか 錆び跡が数か所ありましたがこれは使用には影響ないレベル。ピストンは 全体的に吸気スカート部の当たりが強いようで やはり使用環境がそう仕向けてるのか..... その割に 排気側スカート部はキレイなものでしたがね。こちらは 修正して組み込みとしました。



後は バラした逆で組み付けていきますが、ここでまた時間がかかるのが 各部ガスケット剥がし。当該車両は ヘッドもベースもメタルガスケットですがそれに元々塗ってある 半液状ガスケットが各部に残ってます。これをキレイにとる作業が時間かかります。意外に疲れます.....最後にオイルストーンで全体的にならして 気合を入れて エンジンかかるところまで一気に組み立てです!!

エンジン始動後 動作具合チェック並びに 各部のオイル漏れチェックしてエンジン側完了。最後に フロントブレーキパッド交換&チェーン調整、リヤサス調整して全て 依頼内容完了。今週怒涛のスピードでオーナー様に納められました。BPさま、こちらの無理なお願いに引き取り感謝いたします。これで次の方の車両が入庫できます。これからも低速練習もマシンをいたわりながら、(人間もいたわりながら(笑))楽しんでください。
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