ちょっとしたことさえしてあれば......
写真 ↑ の上下のベルト幅の位置に注目。この状態、エンジン停止しているのに、ベルトの位置的には「全開状態」です。ドライブ側(写真で左側)のプーリーがほぼ全開の状態で固まってしまっています。勿論この状態ではダメです。本来はエンジン停止時はこの部分のプーリーは奥に移動してベルトはもっと軸の方に近い状態になります。固定されてしまっているのは、中のウェイトローラの位置がずれて 引っかかった状態のままになってしまってます。
で、なんでこうなっているのか見ないと解らないのでバラそうとして「爆弾」にあたりました。
ドライブプーリが取り外せないのです。写真のようにナットも緩め、ドライブフェイスも取り外しております。通常このまま手前にスライドしてくれば、ドライブプーリ一式も外せます。しかもそれほど苦労はありません....のはずなのですが、当該車両は .これ以上 引き出せません。全くビクともしません。クランクシャフト上なので無理もできませんし、ケースに近接しているので、外がけ式の爪プーラーは使えませんし、なにかでこじるのも差し込める場所も限られますし、やはり無理はできないです。結局、ドライブプーリは交換前提で破壊覚悟で取り外すことに。とはいえ、手荒にするのは簡単ですが場所も場所ですのでスマートに取る方法で。ドライブプーリに穴をあけ、そこにタップでネジ山を造り 引き抜き用のプーラーを使用して引き抜きできました。
で、原因は解りました。スペーサ差し込み部のクランクシャフト本体が錆びに錆びてしまっています。tetsu歴代自分でバラした車両はこの部分がこんなになるのなど見たことありませんが.....
以前バラした際にこの部分がこのような予兆になっていたはずですので、その時にキレイにしてグリスなり薄く塗布しておけば良かったものを....と思ってしまいます。
ウェイトローラは1500km前にオーナーさんが変えたと言っていたのですがその際も引き抜く時に苦労したというお話も....よくその時に抜けました。その作業前からこのようになっていたと推測されます。おそらく、前回バラシタ際に ご本人なりにちゃんとドライブプーリーを奥まで押し込んだと思っていたようですが、手前 数ミリ残して奥まで入っていないで組まれていた模様ですね。それで走っているうちにプーリー内部でウェイトローラが遊んで 一部 引っかかった状態となってしまったのでしょう。
ベルトはまだまだ大丈夫でしたので、その他のドライブプーリー側の部品を新品交換します。
ついでにミッションカバー側のオイル滲みの修理も依頼されました。前回ご本人がベルト周り整備した際にケースカバー内にオイルが溜まっていたとのこと。その時にミッションオイルを交換したそうですが。よ~く見ると カバー後ろ側の締め付けネジ周辺からオイルが滲んでおります。経年使用によるガスケット劣化による滲みと思われましたので、この部分のガスケット交換で対応で大丈夫でしょう。
ミッションカバー開けて内部も点検、ベアリング類も傷んでなくギア類もOKでしたのでガスケットのみ交換しました。
このようなオイル滲みを放置していると、中のミッションオイルが気が付いた時には抜け出てしまっていて(大抵原付は 100ccほど)での ミッショントラブルなんてパターンが多いですのでスクーター乗る皆さん、覚えておいてください。
全て組み込み、エンジン停止時のベルト位置も勿論正常に戻り、無事オーナー様の元に戻せました。
皆さんもお安くしたいが為に DIYでどうにかするのは構いませんが、大概 ヒドくなってからご来店のパターンが多いですので、どうかDIY前に一度 信頼できるバイク屋さんにご相談してみてください。その方が余計な出費も出さずに済むと思いますよ。
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