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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

CB400SS カムシャフト交換


ちょっと前の作業になりますが 定期的に診てます ホンダCB400SSさん。2007年の最終モデルスペシャルエディションですね。2年ほど前にエンジン異音にて作業依頼、その時はこの車両(というかこの年代の小排気量ホンダ車?)泣き所の カムチェーンテンショナ交換にて改善していました。しかしここ最近 まだ異音がヒドクなってきたということでご相談。ご来店時はエンジンも暖まっておりましたが 前回と同じく カムチェーンテンショナに問題ありそうな感じ。でも以前交換してから約8000km。今回総走行距離も前回交換したブツも見た目一緒でしたがマーキングとか型番が違ってましたのでいくらかの改善されたブツだと思ってますので それ以外での方向性を視野にお預かり。

まずは冷感時、特にエンジン金属音がヒドイということで検証。すると 冷間時ならではの音が聞けました。この時点で カムチェーテンショナをイタズラして音がしない方向にしてみますが それとは別の金属音がシリンダーヘッドからしますね。それも 不定期に...... この時点でおおよそ見当はつきましたが。
カムシャフト周りに装着されている機械式オートデコンプ周りがなにか不具合がありそうです。

で、ヘッドカバーバラしてみまして内部検証。


すると 本題に行きつく前にイヤな物も発見。

ヘッドカバー側に付いてくる 所謂ロッカーアームですが カム面が当たる腹の部分に傷ともつかない線が無数に入ってます。これ現状 まだ爪ではひっかかる程度ではないですが 明らかに表面処理が剥がれてきていることです。


カム側も薄い線傷はついてますが これくらいなら音には関係ないのですがね。
でも見てしまうと いい気はしませんね。


で、本題のオートデコンプなのですがカムシャフト本体右側に装着されていて エンジン始動時にピストン上死点辺りで右側の排気バルブ(SS400は4バルブです)のみほんの少し開けて エンジン圧縮を下げて 始動時のクランキングスピードをあげてくれるものです。
ヤマハのSRなんかはこれが手動ですが、SRXやホンダのXLR250なんかはキックからワイヤーが延びていて キック連動式の機械式デコンプでしたね。それ以降は 特に単気筒なんかは この手のカムシャフト本体に内蔵された内臓機械式オートデコンプが主流ですね。アドレスV125なんかもこの手なんですよ。
で、その部分の写真撮り忘れましたが 装着されていた物は随分とガタが大きいような。特に縦方向が。パーツリスト見ると カムシャフトとオートデコンプ部は圧入ですが個々で部品が出る模様。ただ こういうケースでは個々で治しても 完治しないもしくは長くはもたないケースも多々あるので カムシャフトコンプリートで交換します。本来のホンダエンジンでは考えられないのですがね......


新品のカムシャフト来て ちょっと驚き。新品時は モリブデンコートらしいコーティングのせいか真っ黒なんですね。純正で真っ黒のカムシャフト 初めて見ました。まぁ ピストンのスカート部とかにも最近は(ていうかもう10年以上前からか)モリブデンコートされてますから驚くことでもないか。ただこれが新車時からなのかは定かではないですが。

新品組み付けて エンジン始動。見事に不定期な金属音が消えました。


今回の車両は現オーナー様が他のバイク屋さんにて約4年前に約16000kmの中古車をご購入。その時のエンジン音をtetsuは聞いてませんので何とも言えませんが (その前のオーナーさんの整備状況も知りませんし)、それにしても このエンジン。触っていてホンダ車らしからぬ印象が(あくまでtetsu個人的見解ですので)。新車時でもおそらくメカノイズ多いししばらく走るとエンジン本体の音も大きい部類と見ました。色々 その後のパーツで改善も試みているのでしょうが その後の車両も当該車両の2007年式で最終以降 車体も絶版。基本根本エンジン設計は当初の頃から変えられていないので それ以上の変化は望めないでしょうね。昔のホンダ車のイメージを脇に置いておいて、「新たなホンダエンジン」という感じで受けとめないと 今回のような診断もドツボに嵌りそうだと tetsu個人的には思いました。
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