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リトルカブ改 謎のエンジン不調 其の三

で、一日開きましたが リトルカブのシリンダー周りバラした続きです。

ヘッドを外してみて 距離なりなカーボンは蓄積しておりましたが ピストン周りは綺麗なもので 今回の要因になるようなものは見受けられません。過去にピストンヘッドに小さなクラックが入っていたことがあり、その車両は逆にアイドリングが出来ないのと 妙にブリーザーパイプから圧力が逃げていたものでしたので今回のとはちょっと違いますね。

目についたのは シリンダーヘッド側。カブは吸気用バルブ、排気用バルブ 各一個づつの2バルブ SOHCヘッドですが 排気バルブが焼けすぎなくらい焼けてます。

写真の右側 真っ白な部分が排気バルブ側です。


これには色々な状況が考えられますが 燃料供給が少ないながらに 全開域を多用して走っていた期間が多いのか...... それにしてもかなり焼けてます。
しかし それ以外では 空でカムを回してバルブの作動を見ても問題ないですよね。

この吸気もしくは排気バルブがしっかり閉まってなかったりという状況が起こっていれば 燃焼室で圧縮がなされないので エンジンはストールしますが....... そもそもそれならエンジン始動困難だったり他に症状み出るのが通例ですが......

ということで 次に バルブをバルブスプリングコンプレッサーを使用して バルブスプリングを外し ヘッドから抜いてみましたら.......

吸気バルブはすんなり抜けたのですが、排気バルブ側が 3mmほどリフトさせたところから 抜けません???? 「え?バルブ曲がってる?」と一瞬思いましたが とりあえず そのままバルブを上下させてみると この3mm間では問題なくスムーズに上下できます。この状態で回転させても曲がりは見受けられません(バルブステムシャフトが曲がっているとここで真円を描きません)。 でもそれ以上引っ張り抜こうとすると引っかかって抜けないのです。

その図がこちら

とりあえず抜いてみないことにはなにが起こっているのか分からないので バルブ交換する前提で プライヤーで強引に引き抜いてみました。そこである程度 今回の現象の原因判明しました~
排気バルブが作動時に最大にバルブがリフト(開く)する辺りにさしかかる バルブステムシャフトの部分だけにカーボンが焼き付いて蓄積していました。これが バルブガイドに微妙に接触して圧着状態となっていたようです。手持ちの中古のバルブで動きを検証してみましたら、そちらのバルブでは従来通り スムーズに出し入れ出来ましたので バルブガイドは変形してないようです。目視でも傷らしいものも入ってませんでしたし。

ということで、今回の症状がどうなっていたかというと アイドリングでは問題なく排気バルブはカム作動とバルブスプリングとの絡みで動いていました。しかし 高回転になるにつれて この焼き付いたカーボンの引っかかるタイミングとバルブスプリングでの戻すタイミングにタイムラグ(要はバルブの追従性が落ちてくる)が生じてきて 最終的に圧縮抜けになってしまうためにエンジンストールしていたということです。だから停止しても再始動には問題なかったしアイドリングも問題なかったということです。
なので 当初の「燃料不足?」というのはある意味 当たっていたのですね。

言葉で書くとなかなか理解できない人もいるでしょうが エンジン燃焼で必要な三大要素「良い燃料」「良い圧縮」「良い点火」の「良い圧縮」が 作動状態でマイナス要素になっていたパターンですね。
これはここまでバラさないと解らない レアな症例でしたが こんな事もあるのです。


吸気バルブは問題なかったですがそうそうここまでバラさないのでついでなので両方でも新品バルブにして 久しぶりのバルブ摺合わせしました(カブの大きさは本当に珍しいですね)。
バルブフェース自体はそれほど荒れていなかったので それほど長く摺合わせしなくてもOKでした。
全部を元に戻して 始動チェック! しばらく暖気ナラシ後 アクセル開度を上げていき固定してもバラす前の症状は出ませんし なにより回転がスムーズに持続しています。バラす前はこの時点でも少しエンジンが苦しそうな雰囲気を出していましたので。
その後 6キロほどの試走でも全く問題なく 調子が戻りました!
本来はノーマルキャブ、マフラーで走れるタケガワeステージですが 今回のオーナー様の走り方だとメインジェットを1~2ランク大きくしてもいいでしょうね。
オーナー様も原因究明できて安堵の表情と共に 非常に喜んでおられました。また色々な局面に使用してください。


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