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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

CRF1000L チェーン交換

初見のご近所さん ホンダ CRF1000L 現行アフリカツインの初期モデルですね。

これが出た当初もそうですが やはりホンダらしい造りで 売れまくり、一躍 アドベンチャー流行に拍車がかかった印象でした。

ご依頼はチェーン交換。あまり乗る頻度も多くなく気が付いたら サビサビとのことで。


チェーンの技術の進化もあってか 現代国産1000ccでも CRF1000Lなんかは525サイズチェーンでしたね。車両性格と日本車ってところから530サイズを想像しましたが。
昔 同じホンダの2気筒1000CCのVTR1000は530サイズでしたけどね。
因みに ドカは tetsuの996RなんかのSBKシリーズでも当時から 525が標準でしたので その辺が日本人の考え方とイタリアンな考え方の違いでしょうかね。
そういうの考えると 現代のコンピュータでは 強度計算とかもかなりの信頼度で 最初に解析できているのでしょうね。

一応分らない方にチェーンについて補足説明。
一般的にチェーンにはサイズがあり 主なサイズは 細い順から 420・428・520・525・530という数字で区分されてます。数字が太さを表すと思えばいいです。
420は主に~125ccまでが主。428は125~400ccくらいまで、520は 250~900ccくらいまで、530が それ以上の排気量という感じで その車両の基本 馬力相対で決まるイメージです。
昔のイメージですと 国産の2気筒1000ccなら安全パイとって 530となりそうなのですが.....
近年の解析技術の進化もすごいので CRF1000Lくらいのエンジン特性や総合的造りから525で充分となったのでしょうね。

細くできれば スプロケットもダウンサイジングできて コストダウン、軽量化と出来ますから 企業側としてもオーナー側としても いいことですよね。


実際 今回交換で使用する RKの525XREの箱にも指定排気量が 『400cc~1000cc』となってましたね。

昨年発売された新作ですね。標準チェーンで交換です。



当たり前ですが交換して 転がり抵抗もスムースになったので是非 乗ってあげてください。
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たまにこうなる

いつも言いますが 伊東二輪は 『ドカ屋ではありません!』(笑)。


でもたま~に こういう時もあります。
あ、これより多いのもあるな(笑)。

多すぎるのは困りますが(苦笑)。

セロー250 色々メンテ 足周り編

その③からの続き。

フロントステムベアリングとスイングアームピボット、リンク周りの整備となります。
当該車両 一度 前後のベアリング類はどこぞでグリスアップしてもらったとの事でしたがどこまでをどうやってもらったかは覚えてないとのこと。

で、どちらにしろ 今回は基本 ベアリング類は全て交換依頼ですので そのつもりでバラしていきます。


まずはフロントから。
ステムベアリング抜いた図。



上下のベアリング共 大きな問題はありません。
グリスは残ってますが 問題はベアリングに残っているグリスが乳化してしまっていること
(汗)。


クリーム色の部分が元のグリス色。
ベアリング表面の物が乳灰色になっているのが水分が混ざり乳化していること。
前回グリスアップ時に一般的なグリスを使用したのか、そのグリスの成分的に防水性能が劣っていたからか エンデューロ使用とその後の洗車の繰り返しで水分が混入して このようになってしまっていたのでしょう。

伊東二輪は 防水グリスではよく見る 青色の マキシマ防水グリスを新品ベアリングにふんだんに塗りたくって組み込みました。
防水系のグリスだと粘りが強いので こういう部分では若干のハンドルの重さ等にも影響しそうですが 使用環境考えると 防水優先しますよ。
因みに 新車時はどのバイクも大した量のグリスも塗られてないので 実際新車時に一度バラスのがその後のバイクの状態維持にもいいでしょうね。

ベアリングレースも打ちかえて フロントは戻して完了。


後ろに行き スイングアーム、リンクを取り外します。


 当該車両 勇ましい使われ方されてきた模様が この外したスイングアームからもうかがえます.....

リヤ周りの部品は泥汚れとチェーングリス他のオイル汚れが結構ありますので まずはある程度の洗浄からです。

で、まずは引き抜いた ピボットシャフト。


っていうか 引き抜くこと自体に苦労しました。
見ての通り腐ってましたので(汗)。


因みにセロー250のピボットやリンク周りには 一般的なベアリングが使われている箇所はほぼありません。リンクとフレームを繋ぐ部分のリンク部にだけ一般的 ニードルベアリングが使われているのみ。
ピボット部のそれは 樹脂製のブッシュ。

写真の左右の黒い物体がそれです。

上は装着物。 下は各新品。
こういう樹脂の部品使っていると昔の原付スクーターのフロントフォークの内部部品を思い出してしまいます。フォーク内部のスライドする部品等が全部樹脂製だったのを....
ま、廉価の過程でこうなったかは不明ですが 少なくと SR400でアルアルのスイングアームシャフトが腐って抜けなくなることはなさそうです。
腐っても相手が樹脂なので ピボットシャフトを交換するつもりぐらい叩けば 流石に抜けてくれそうです。SRの場合抜けなくて 最期は切るっていう手法まで行きましたからね....ツライ過去の記憶ですよ(苦笑)。

ここの部分、普通にベアリング化するのもセロー250では有名なお話しのようですがこの構造見ていると果たしてそれが幸せな方向になるのかはtetsu的には少し疑問に思います。
セロー250の素性からして作動性が良くなることはまだしも剛性が上がる方向性はどうなのだろう......そもそも大した防水性能を与えられてない構造なのにですし....
ま、これは個人個人の自由なので発言はこれくらいにしておきましょうね(笑)。


こちらは 通称『おにぎり』と呼ばれるリンクブロック。


リンク部分も基本 このような スリーブベアリングというものを使用しております。


どの部分もグリスアップしたのかしていないのか分からないくらいのドライ状態でしたが ベアリングの状態自体は悪くなかったです。
ただ 激しい衝撃が何度も当たったらあっというまに偏摩耗しそうではありますが......
逆にこの薄さで強度はあるかもしれませんね。


新品袋入り状態。

最初抜くのに苦労しそうでしたが何気に ベアリングプーラーがインチキ的に使えたので結構普通に抜けて良かったです。叩いて抜くには場所的にリスクが大きすぎますね。

中のカラーは通常ベアリング使用と同じく この組み合わせで組みます。



リヤ周りで交換した部品達。

ピボットシャフト以外、意外とまともな状態でしたね。
使われ方からしたら優秀。
何気にセロー250は偉いかも(笑)。

どれも入れ替えて 元通りに戻して オール作業 完成!




エンジンも足回りもリフレッシュにて これからも長々と乗ってくれることでしょう。


セロー250 色々メンテ エンジン編 ③

②の続き

原因が特定できたので 外した 他部品も検証しておきます。



抜いた排気側の方のバルブ。すでにある程度カーボン除去したあとですが割とこんなもの。


バルブは排気側の方が フェース面(ヘッド側のシートと当たる面)が若干荒れている様子だったのと同じく ヘッド側のシート面も同様だったので 軽くバルブ擦り合わせしておきます。
この辺の作業は やるやらないは一任されているところもありますので 実際 やらなくても分からないレベルですが 見てしまっている以上 気持ち的にやりたくなるだけですが(笑)。
性能一辺倒な使い方のエンジンならとことん突き詰めるのもいいでしょうが 一般使用の のほほん車両なので そこまでシビアな内容はなくていいとtetsuは以前からそういう方針です(公道車の場合は特に)。

カムシャフト、ロッカーアーム類は使用環境からしたら 予想以上にキレイな状態でした。





ただ ロッカーアームシャフトは吸気、排気 双方側とも 熱の影響があるのか 通常の抜き方ではヘッドから抜けなくて こういう時には親分譲りの 『ないものは造る』的に 特殊工具を手持ちの工具流用してプーラーみたいな物を造って抜く必要がありました。



ローカーアームシャフトですが 吸気側の新品(写真左側)は何故か モリブデンコーティングされている感じですが 排気側はピカピカのメッキ? 素材肌? なのか 吸排気で最終処理の仕様が違うのが不思議でした。

セロー250のロッカーアームシャフト......ヘッドに組み込む時に気が付きましたが 入れるときも結構 ほぼ圧入に近いのも難点。
今まで触ったことある 4スト単気筒車のこの手に似たヘッド構造のものは 軽挿入の物が多く ほぼ 『スル』って感じで工具なしで抜き差しできるものが主でしたが.....
特にセロー250は 排気側のシャフト入れるときは入れる位置を決めとく必要があって 面倒くさいです。ヘッド右側から入れるのですが 入り切った左側端面に丁度 ヘッドとシリンダー締め付ける長いボルトが通る箇所がありその逃げ用の切り欠きが シャフト側に設けてあります。

下写真がその部分。

で、これが困ることに そのまま希望通りの位置では入って行かず(上手く入れる方法があるのでしょうがtetsuは無理でした)そういうのを想定してか ある程度入っても回せるようにメーカーさん マイナスドライバーが当てられるように右端面の処理はなっているのですがこれがある程度シャフトが入ると 硬くて回せないという なんとも意味のない構造でして それをある程度予測できたtetsuとしては 最大限注意しながら 希望通りの位置に入ったの確認。ヘッドボルトを仮通ししても問題なく通ったので 一発挿入でセーフでした。

余談なんですが、今回のようなエンジンを色々バラしたり組んでいると 他のバイクもそうですが 何故こうなのかっていう疑問が沢山あって 諸々 設計者に理由を聞きたいと毎回思うtetsuです。



新品のピストン、ピストンリング。

セロー250のピストンは225時代に比べると全く違っていて まさしく『現代的』な印象です。
スカートも結構短く、削れるところは削って軽量化もしてありますし。


こちらは新旧ピストンピン。

ピストンピンはすんなり抜けましたが見て見ると結構熱影響での変色等はありますね。
新品はこちらもモリブデンコートされている感じでした。


バルブ抜いた状態のトップ側のバルブガイド周辺。


こちらも綺麗なもので 燃焼室側は カーボンを取れるだけとって 綺麗にします。




こちらはカムシャフト外した奥側 ヘッドに圧入されている カムシャフト支持用の進行方向左側のベアリング。

これは今一状態良くなかったので 今回バラして発覚して良かったです。これらも新品交換です。
因みに右側はカムシャフトと部品一体で成り立っていて丸ごと一緒に交換です。


ついでに今回の作業とは関係ないですが なりに汚れているスロットルボディも綺麗にしておきましょう。


やはり過酷な走行環境もありエンジンブリーザー等の影響でスロットルボディも結構汚れてます。


これくらい綺麗に戻ると気持ちもいいものです。


そしてここからはtetsu エンジンバラしで最大に嫌いな『人生はガスケット剥がしだよ!』という時間と 各部のカーボン落としに明け暮れます。
カムチェーンの交換は手がオイルまみれになるのといちいち手を外すのが面倒なので いつもそうですが組み立て中の写真含め この後の写真は一切ありませんのであしからず(笑)。

問題のヘッド挿入も 予定通りエンジンハンガー緩めて 余裕の挿入。
そのまま 黙々と組み上げて エンジン完成して エンジン始動。
各部チェックして問題なしなので ひとまずエンジン側は終了です。


その④ 足回り編に続く

セロー250 色々メンテ エンジン編 ②

①の続きです。

シリンダー外して ピストン登場。


ピストンは予想以上に問題なさそうです。

もう少しオイルリング(3本あるうちの一番下のリング)辺りが問題で ピストンスカート部にもカーボン付着を想像しましたがキレイなものです。
リング類も固着なく 見た目は正常に機能している模様。
因みに ピストンヘッド側のカーボン蓄積は空冷エンジンなら距離相応。逆に 極低速にてオーバーヒート気味に使われてきたエンジンとしてはいいほうなのではとも思ってしまいます。
トラスト時代にハーレーのショベルヘッド腰上バラした際、 いつバラしたか分からない物なんて相当 燃焼圧縮上がっているのではないかと思うくらいのカーボン蓄積がヘッド燃焼室にもピストンにもしてましたからね....


外したシリンダー内部はというと こちらも綺麗なものです。


セロー250のシリンダー内部はメッキ処理してあります。
なので よほどのオイル切れを起こさない限り頑丈です。
一応 この後 シリンダーボアゲージで内径測りましたが 減りはほぼないようなものでした。


ここまでのところ オイル臭に関して ピストン、シリンダー側は 『白』と判定。


ということはヘッド側が怪しいです。

バルブ周りを目視で点検してみます。
吸気側は距離なりで オイルリークもない感じです。見た目 普通です。



排気側。
お! 怪しいの発見!!

カーボン付着もある中 奥に 真新しい オイルらしい光がしております。
触ってみると オイルっぽいものが指に付着しますね。
ほぼほぼ これが原因でしょう。
排気側の バルブステムシールが逝きかけております。

ということで 当初の予定よりヘッドバラします。
バルブを抜きますよ。


判定は排気側バルブですが どうせなので吸気も抜きます。

バルブを抜いたところ。
上吸気側、 下 排気側です。



問題の排気側のバルブガイド部分。

やはりオイルリークしておりますね。



対して 吸気側。

こちらは一般使用な環境下よりは 煤けてますが 現状でも問題なしです。


さて、問題のバルブステムシールというのはというと(知らない方々のために)この写真のこの部分。燃焼実とは逆側(表側)、本来この上にバルブスプリング、ロッカーアームとあります。

バルブのシャフト部分の丁度上下する中間辺りのヘッド側のバルブガイドのくびれにシールが嵌めこまれているイメージです。

そして これを取り外す際には 指とかでは簡単にとれないようになってます......
な はずなのが 当該セローの排気側のバルブステムシールは いとも簡単に外れてしまいました。(謎)
そもそも普通にバイク屋やっていても 現代4サイクル車のバルブなんてそうそう外さないので「???え、現代バイクのってそうなっているの???」なんてちょっと不安にもなり吸気側を外してみたところ こちらは思っていた通りに簡単に外れません。ちょっとホッとしました(笑)。

いや、これも昔 トラスト時代で見たことある オイルが減る減る ハーレーのショベルヘッドのバルブステムシールでそんなのあったんですよ。造り直したバルブガイドに嵌めてあるはずのものだったんですが シール選定が悪いのか ガイドの造りが悪いのか って感じでしたが それ見た時は「そりゃオイル減るよ!」って思いましたよ。

話はセローに戻りまして。
ということは排気側のシールがなにかおかしな事になっているのが原因ですね。


これらが外したバルブステムシール。

右側が 問題の排気側。
表側からも 若干右のシール表面が荒れているのが分ります。

裏返してみたら更に排気側のが緩かった理由が判明。
 

シール内部が右側の排気側のは 一部溶けたように崩れてしまっておりました。
これが 簡単にガイドから外せた原因でもあるし 排気ポートへのオイル下がりの原因でもありましょう。
ほぼシール効果がなくなっていると判定できます。

これくらいだと オイル消費はそれほどでもなく、且つ 随時排気ガスには生のオイルが混ざりこんでサイレンサーから排出されるので 排気ガスはオイル臭しますよね。
当初の疑問だった問題点にほぼ合致します。

原因は色々あるでしょうが 一番は やはり 新車からここまでの車両の使用環境によるところが大きいのでしょう。
極低速走行や斜面でのイゴイゴ(登るためや脱出するためにあれやこれやするエンデューロ業界用語です(笑))を連発していた代償でしょう。
この辺は 空冷エンジンだからっていうのが最大の難点でしょうが セロー250が一般公道トレール車だからというのもあるでしょうね。昔の ホンダのXR250Rのような空冷でも生粋のエンデューロレーサー車両の造りならある程度ヒート対策もしてあるでしょうから。
あ。でも基本 走り続けていること想定で イゴイゴすることは想定して造ってないと思うので そこは一緒か。
個人的には こういう内燃機の製作者にお話聞きたいですね。


その③に続き