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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

748R 完了

ということで、まずはおおよそのセッティングでの試走です。合わせて、クラッチオーバーホール&サーフレックス特有の「ジャダー」の出具合も診てみます。あまりにヒドイ場合、もう少し和らげる手法を施してみます。

伊東二輪一人営業ですので営業時間内での試走は出来ませんので、開店前or閉店後に試走タイムです。今回は計2日同じようなルーチンをしました。
最初の走行では 極低回転からの走り始めの感触は良かったですが、クラッチのジャダーがひどくて ある程度回転あげておいて「スパっと」クラッチを繋がないと発進せずにストールしてしまいそうなくらい神経質でした。これは要改善として。極低速のトリマー、アイドルバイパススクリューの調整の感じは良かったですね。低回転でのアクセルの開け閉めでもストールすることもなかったので。次に、インジェクションへのサブコンの介入マップの感触も第一弾は低回転~中回転での繋がりでトルクの谷が大きすぎて、ちょうど 3000rpm~4000rpmでのパーシャル走行がやりづらい物でした。こちらはお店戻って 一部マップ変更します。
そんなこんなを開店前、閉店後と 走ってみては 突き詰めていき、おおよそ tetsuの 好きなフィーリングに仕上がりました。tetsuは 低回転でのアクセル開度に不用意に動く「ドン突き」が好ましくないタイプです。「ドン突き」=「濃い」というのがパターンです。 デジタルに開けたらその分走るような きめ細かい 「チョイうす」それでいてアクセルワイドオープンだと モモモ~とトルクがひっついて来てそのまま走らせてくれるような「追いかけチョイ濃い」な雰囲気を頭で思い描きながらマップ変更していきます。結構 この人間のフィーリングでの決め方はデータでは表せられない部分を感じてのセットで大事だと思います。
その昔のワークスレーサーもある程度エンジン出力が出るセッティングでも最終仕様決定は乗り手が決めるというものでしたから。
因みにtetsu996Rはパワーコマンダーを導入した際、このようなプレセッティングをある程度公道で決めて、いざ最終セッティングを筑波サーキットで行いました。(2004年頃の話ですがその当時は我が愛機は、レーサー仕様と公道仕様を両立させていましたのでこんなことも簡単に出来てました。)そんなのでも当時の BOTTで有名レースチームのアプリリアRSVに筑波のウラストレートで互角でしたからね。なんとかなるもんです。
今回の748Rも最終的に tetsuの好む仕様にすることができました。後はオーナー様が気に入ってくれるかですが....
クラッチの方も何度か試行錯誤しましたが、やはりケブラーの性質と今までの謎の組み方のせいか、クラッチプレートが一部 変形している模様です。どうしてもジャダーを無くすことは出来ませんでした。一応今回は全交換は見送り  tetsuの裏技組み込み方式で 一番ジャダーが出づらい仕様で完成体とさせていただきました。

完成と同時に すぐに引き取りに来ていただきました。お待ちどうさまでした、O谷さん。楽しく、安全に乗って行ってください。
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748R その⑥

はい戻ってきました。で、なんでしたっけ?(笑)
あ、「パワーコマンダー」ね。
これを装着します。

ググればなんたるかは解りますが、いわゆる「サブコン」です。一応わからないかたもいるかと思うので、「サブコンピュータ」の略ですね。因みにこれに対してよく聞く 「フルコン」は「フルコンピュータ」。
コンピュータというからにはなにやら偉そうなことをやってくれそうですよね。
どちらがどうかとここで語るのは面倒なので、偉さで言うと フルコン。簡易さで言うと サブコンって感じですかね。ま、その状況で どういったチューニング方向が必要かなどでも どっちが優位とはつけがたいですが.....
で、なにをやってくれるかというとインジェクションでの燃料噴射量を変更するため。 キャブ車で言う「キャブセッティング」と同じようなものですが、元々 空気と燃料を混ぜる方法がインジェクションの方がデジタルな分 はっきりしています。ノーマル状態で最良の状態にセットされてます。ですので インジェクション車の場合ノーマル状態からマフラー等 吸排気に携わる部分をなにかしら変更すると あからさまに 調子が変わります。大抵は良い方向になることはないですね。
キャブの場合はスリップオンサイレンサーくらいならそのままのキャブセットでも気が付かないレベルで走れますし、内部のジェット類を交換すればこれらのセッティングは変更できますが、インジェクション車の場合、あからさまに気持ちよくない部分も走りに出てきてしまいます。それでいい人はいいですが、やはりよりよく出来るならなにかしらの調整はしたほうが走っても楽しいですしね。大抵はノーマルECU(コンピュータ)のセッティングは大きく変更は不可能です。これを可能にするのが、サブコンだったりフルコンです。
特にサブコンは ノーマルECUの命令をベースに それらの命令系統に割り込んで、イタズラしてしまうという、なんか「ミッションインポッシブル」やっているような感じです(笑)。
tetsuは愛機 996RにてBOTTというレースに出ている時にテルミニョーニの54パイフルエキを装着した際にパワーコマンダーを装着したのが最初で その時の経験が生きてます。
で、どのようになにをいじれるかというと....これも全部説明やら大変なのでかいつまんで....
パワーコマンダーの「割り込み命令マップ」はPC上で作ります。それをパワーコマンダー本体にUSBを使用してアップロードします。その時に制作するマップ画面がこれ。

アクセルをどのくらい開けたときに、どのくらいの回転数でどのくらい燃料を多くしたい(もしくは少なくしたい)というのをPC上で表示されるグラフのような部分の各数字を変えていくのです。+ - 0~100の増減範囲があり イメージはダイヤルですね。その数字の大きさで インジェクターから噴き出す燃料の量を細かく 変更できるのです。
パワーコマンダーにはその装着車両に合わせた、ある程度作られたマップがいくつか入ってきます。それらをおおおよそ検討して選んでそれをべ―スに小変更していくのが街乗り車両の場合近道です。勿論 変更なしでもOKな場合もありますが、これも乗り手の好みで別れますので(キャブもそうですが.....)どのマップをベースというのも難しいところでもあります.....
勿論腕に覚えがあったり、ダイノマシンを一日中回せる人は オリジナルマップ作製も可能でしょうが 通常一般道走りにはそこまでは必要ないと思います。
と言いつつ、今回もそうですが 勝手にtetsu好みにセットさせてもらいました。
748Rは特に 下の回転でのトルクが細いので、極低速発進からの粘りは難しいです。でもあまりそこを捨ててしまうと 本当に街中や低速走行がつらくなってしまうので そこいらを重点に見てみます。上の回転はある程度セットがでていれば不満に思うところはまず出ないです。特に街乗りの場合.....先に調整した極低回転域の調整も含め 全体の繋がりも診なければいけません。
どちらにしろ これらは実走で判断となります。ダイノマシンなくてもなんとかなっちゃうのを自分の996Rで知ってますので。やはり最後の人間の感性はバカにできないのです。つづく.....

いろいろいろ

昨日748Rは無事オーナーの元に戻りました。と、まだネタは続くのですが 今日は一休み。
なんせドカ祭りは他の車両でも続くので。
今日は 朝からいろいろいろとやることもありまして。


①お預かり V100シート張替

またまたV100って言わないで(苦笑).....
あまりにも長期のシート切れのまま乗っていたため 下のスポンジ部分に多量の水がしみ込んでいまして.....しばらく放置である程度乾かせねば と 今日で4日目。大分 良くなってきたので本日シート表皮 張ろうかな~って思っていたら......順次お仕事が来て今日は張れませんでした.....


②常連さんV100のリヤブレーキの戻りが悪いとのご来店。(連チャンだ...笑)

診てみると、リヤブレーキシューのアームの戻りが悪いです。シャフト部のサビ、汚れが原因なのでリヤ周りバラしてのシャフト清掃処理ですが.....タイヤの山がスリップサインギリギリですね....と話していた矢先、カッターの刃が刺さっているのを偶然tetsuが発見してしまいました。まだ最下層まで到達してませんでしたが、ある意味ここで発見してラッキーでした。作業工程的にリヤホイール取り外しますからね。ということで合わせてリヤタイヤ交換も承りました。


③以前よりお付き合いある近所の新聞屋さんに、たまたま伊東二輪で在庫だったプレスカブくんが売れました。

明日 8日(月)午前中納車なので納車整備です。前後ブレーキ点検清掃、タイヤはまだ使用できましたが 以前よりお世話になってますので今回は前後新品タイヤ交換にて納車します。

④と最後に これまた常連 T見くんの998R オイル交換のご用命です。

エンジンオイルは 伊東二輪推奨の 「NUTEC」4V系には 「NC50」を入れております。3000km毎か一年一回の交換です。今回は 約一年 2200kmでの交換でしたが やはりそれくらいしっかり愛車に気を遣っていればいいですよね。

明日は午前中 プレスカブ納車して まずは本日できなかった、V100シート張りですね。

748R その⑤

次にインジェクションセッティングです。
当該車両持ち込まれたときに 吹けが今一なのと低回転時の不安定なところ、初動から低回転でのつながりのギコちなさ.....走行低速になるとたまにエンジンストール....と SBKとしては今三な状態でした。まぁ エンジンストールしてしまう車体は ドカのインジェクション車は4V系は結構あるのですがね。基本となっている車体造り、セッティングが街乗りには向いてないというのもありますが....色々縛りもありますから....
この車体は当初からテルミニョーニのチタンスリップオンが装着されておりました。ノーマルもあるとのことでしたのでオーナーさんに試しにノーマルに戻してみて走行してもらったところそちらの方が感触が良いとのこと。ということは、インジェクションマップ周りはノーマルのままでマフラーのみ交換した仕様と推測されます。では いくらか 改善策を投じてみます。

シート下、後部に位置する748RのECU。上部のキャップ周りの封印透明シールが残ったままでしたので一度もここは開けてないのか....ちなみにこのタイプのECUはこのキャップを外して内部のロムチップを交換してのマップ変更が基本でした。当時はテルミのなんちゃら用のなんちゃらロムチップが ドゥカティパフォーマンス製としても社外としても存在しました。また車と同じくロムライターで書き換えるなんて方々もいたようで.....しかし このロム交換はあくまで全体底上げ仕様みたいなもので アイドリングから極低回転でのアクセル付き等の変更は他の部分で行います。っていうか今まで18000キロ、誰にも診られなかったの~(驚)

調整のためキャップを開けますと、ロム記号は案の定 ノーマル748R用でした。ロムチップの脇に 低回転時の燃調を変更できる小さなダイアル(トリマーと呼んでおります)がありその可変によって燃料の濃さが変わります。が、この部分だけでは、 ほんの数度変化させただけでは良くなるよりも悪くなるほうになります。アイドリング付近は更にスロットルボディ側にある「アイドルバイパススクリュー」も調整してあげないといけません。こちらはアイドリング時のみの空気の流路調整となります。これらのバランスでアイドリング回転数~最初の開け始めのアクセルフィーリングを変えます。ある程度 人間感性でも合わせられますが 経験とコツも必要です。しかも内燃機燃焼状態も把握できないとなので 同時に参考的に使用するのが 排気ガステスタです。


通常では空燃比計も併用するとよりいいのですが最近表示が曖昧なので修理中検証中のため今回はガステスタのみで判断します。とはいえこれだけでも十分解るですけどね。測る成分は「CO」「HC」なのですが、これらの数値は内燃機関内の燃焼状態が良ければ ある一定の値以内に入ります。著しく 逸脱した数値になる場合は CO、HCのどちらがどう増加するかである程度 「燃料が多い」「空気が多い」と判断できるのです。この年式のドカは、O2センサも触媒もありませんのでより解りやすく変化します。とまぁ 少しトリマー、バイパススクリュー調整しながらこんなところにしてみます。トリマーは 結果 1度~2度行くか行かないかのところで落ち付きました。と流れ作業に見えますが、スロットルボディのバイパススクリュー調整(リヤヘッド側)は都度 タンク外すのですがね.....
アイドリングも 安定傾向で上がり、低回転からのブリッピングもいいでしょう。
後の仕上げは実走です。やはり人間の五感はバカにならないので....とtetsuのある種信念です。
極低回転はこんなものにして、次に 全体側です。
ロム交換はしません。ではどうするかというと......後にお手軽にセッティング変更できるよう tetsu996Rでも使用している、「パワーコマンダー」なるものを組み込みます。とうことで 今日はここまで.......つづく

748R その④


では次にクラッチ全バラします。歴代の整備内容が解りませんので現状の状態を把握しておかないと方向性も見えませんのでね。特にスリッパ―クラッチ搭載車はより煩雑な点検、整備が必要です。
スリッパークラッチとはなんぞやと言うと多く説明するのは面倒なので 各自ググってください(笑)。簡単に言うと エンジンブレーキの時に後輪がロックしずらくする装置という、レースの世界から降臨してきた仕様です。今でこそ各国産SSも標準装備車が多いですが 2000年当時としては、748Rは既に 標準装備でした。当時の世界スーパースポーツ選手権の厳しいレギュレーションをかいくぐるためと言われておりました。(後で社外クラッチ機構にするのは違反とされていた。)

と、まずはプレッシャープレート外して クラッチプレート達を取り外します。ここまでは基本構造はスリッパ―でもSTDとなんら変わりません。スリッパー機構の構造上 クラッチプレートの材質が違うようですが 組み方 形状等に変わりはありません。
のはずですが.....クラッチプレートをバラシて行くと ??? なんか順番がメチャクチャなんですけど(汗)
正直 「意味不明」な順番で組まれていました。
当該車両に組み込まれていたのは、社外品の サーフレックス製。距離的に一度交換されてもおかしくはない距離ですが...... 交換してからも数千キロは走行しているであろう クラッチ外周の当たり具合でしたが..... とにかく、意味不明の組み方でもクラッチも切れるし、走りもしますが......
とりあえあずそれは後で組みなおす時に考えて先に進みます。


スリッパー機構部はインナードラム部分にあります。STDのスリッパー機構は「カム」方式と言って インナードラムの赤丸部分が凸のカムで、その受けが下写真の黄色丸印部分となります。
普通のクラッチハブは、この二枚の写真分が一体となっていると言えます。

このカム間で動くことにより 減速時のミッションへの反動を逃がしているのです。
その逃がすスピードや間隔を調整しているのが一番外側の大きいナットと共締めの「スパイダースプリング」です。

前オーナーもスリッパー機構はほぼ使用はしてないようでカム部分もグリスは切れてましたが、状態はキレイなものでした。
しっかりグリスアップして再組み込み。センターナットを規定の大トルクで締め付けておかないと後に外れてしまいますからね。
問題のクラッチプレート達。これは問題なく標準通り組みます。唯一 気になるのが、このサーフレックス社のクラッチ。特に上位機種に使用するケブラータイプの製品は停止状態からの初動時の激しいジャダーが出るものが多いです。これをなるべく起こらないようにするのも簡単ではありません。ひとまず 次に作業の インジェクションセッティング後の試走でクラッチの動作具合も診てみます。つづく.....