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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

900SS 車検 他

2年前にトラスト時代に購入頂いた ドカの900SSさん。初の大型車両がこの900SSのお客様でしたが大きなトラブルもなく上手に2年間乗ってきました。
今回 車検の他に 消耗品部品や要所部品交換による 装備品アップ等依頼されました。


フロントブレーキマスターシリンダーとクラッチマスターシリンダーをタンク一体型マスターのノーマルからタンク別体型のマスターへ交換。当該車両は1993年式でノーマルが写真の通りタンク一体型マスターです。当時はSLがタンク別体型マスターを標準装備しており、ブレーキオイルの油面の管理のしやすさからでもSLタイプの物に変更される方も多かったです。
今回も その方向性で 左右とも ブレンボマスターでSLタイプのタンク別体型への交換です。
交換後の写真がこちら。やはり車体のデザインからこちらのタイプの方が似合ってますよね。




次に チェーン交換。チェーンもかなり油切れを起こしている状態でした。オーナーの希望で ブラックチェーンへ交換です。カッコいいですね。




前後タイヤも いつも登場の ピレリ ロッソコルサに交換。ディスカッションの上 お客さんに選んでいただきました。今でもいいタイヤです。

 

車検点検定番の タイベル点検調整、クラッチオーバーホール。
こちらはどちらも調整のみで交換は必要ありませんでした。




組み上げた900SSの姿はやっぱりカッコイイですよね。元気に乗って行ってください。
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リトルカブ改 謎のエンジン不調 其の三

で、一日開きましたが リトルカブのシリンダー周りバラした続きです。

ヘッドを外してみて 距離なりなカーボンは蓄積しておりましたが ピストン周りは綺麗なもので 今回の要因になるようなものは見受けられません。過去にピストンヘッドに小さなクラックが入っていたことがあり、その車両は逆にアイドリングが出来ないのと 妙にブリーザーパイプから圧力が逃げていたものでしたので今回のとはちょっと違いますね。

目についたのは シリンダーヘッド側。カブは吸気用バルブ、排気用バルブ 各一個づつの2バルブ SOHCヘッドですが 排気バルブが焼けすぎなくらい焼けてます。

写真の右側 真っ白な部分が排気バルブ側です。


これには色々な状況が考えられますが 燃料供給が少ないながらに 全開域を多用して走っていた期間が多いのか...... それにしてもかなり焼けてます。
しかし それ以外では 空でカムを回してバルブの作動を見ても問題ないですよね。

この吸気もしくは排気バルブがしっかり閉まってなかったりという状況が起こっていれば 燃焼室で圧縮がなされないので エンジンはストールしますが....... そもそもそれならエンジン始動困難だったり他に症状み出るのが通例ですが......

ということで 次に バルブをバルブスプリングコンプレッサーを使用して バルブスプリングを外し ヘッドから抜いてみましたら.......

吸気バルブはすんなり抜けたのですが、排気バルブ側が 3mmほどリフトさせたところから 抜けません???? 「え?バルブ曲がってる?」と一瞬思いましたが とりあえず そのままバルブを上下させてみると この3mm間では問題なくスムーズに上下できます。この状態で回転させても曲がりは見受けられません(バルブステムシャフトが曲がっているとここで真円を描きません)。 でもそれ以上引っ張り抜こうとすると引っかかって抜けないのです。

その図がこちら

とりあえず抜いてみないことにはなにが起こっているのか分からないので バルブ交換する前提で プライヤーで強引に引き抜いてみました。そこである程度 今回の現象の原因判明しました~
排気バルブが作動時に最大にバルブがリフト(開く)する辺りにさしかかる バルブステムシャフトの部分だけにカーボンが焼き付いて蓄積していました。これが バルブガイドに微妙に接触して圧着状態となっていたようです。手持ちの中古のバルブで動きを検証してみましたら、そちらのバルブでは従来通り スムーズに出し入れ出来ましたので バルブガイドは変形してないようです。目視でも傷らしいものも入ってませんでしたし。

ということで、今回の症状がどうなっていたかというと アイドリングでは問題なく排気バルブはカム作動とバルブスプリングとの絡みで動いていました。しかし 高回転になるにつれて この焼き付いたカーボンの引っかかるタイミングとバルブスプリングでの戻すタイミングにタイムラグ(要はバルブの追従性が落ちてくる)が生じてきて 最終的に圧縮抜けになってしまうためにエンジンストールしていたということです。だから停止しても再始動には問題なかったしアイドリングも問題なかったということです。
なので 当初の「燃料不足?」というのはある意味 当たっていたのですね。

言葉で書くとなかなか理解できない人もいるでしょうが エンジン燃焼で必要な三大要素「良い燃料」「良い圧縮」「良い点火」の「良い圧縮」が 作動状態でマイナス要素になっていたパターンですね。
これはここまでバラさないと解らない レアな症例でしたが こんな事もあるのです。


吸気バルブは問題なかったですがそうそうここまでバラさないのでついでなので両方でも新品バルブにして 久しぶりのバルブ摺合わせしました(カブの大きさは本当に珍しいですね)。
バルブフェース自体はそれほど荒れていなかったので それほど長く摺合わせしなくてもOKでした。
全部を元に戻して 始動チェック! しばらく暖気ナラシ後 アクセル開度を上げていき固定してもバラす前の症状は出ませんし なにより回転がスムーズに持続しています。バラす前はこの時点でも少しエンジンが苦しそうな雰囲気を出していましたので。
その後 6キロほどの試走でも全く問題なく 調子が戻りました!
本来はノーマルキャブ、マフラーで走れるタケガワeステージですが 今回のオーナー様の走り方だとメインジェットを1~2ランク大きくしてもいいでしょうね。
オーナー様も原因究明できて安堵の表情と共に 非常に喜んでおられました。また色々な局面に使用してください。


5月27日は 私用の為休業します

木曜日、金曜日と忙しく「 リトルカブ改  謎のエンジン不調」の続きが書けてませんが、その前に業務連絡です。

明日 5月27日(土曜日)は私用の為 お店は休業いたします。
ご迷惑おかけしますが よろしくお願いいたします。
28日以降は平常通り営業します。

リトルカブ改 謎のエンジン不調 其の二


キャブを開けたところ そんなに問題になるほどの汚れやゴミが入っているようではありません。しかしそう見えても メインジェット内に小さいゴミが詰まっていたなんてことも今までありましたので ジェット類も全て外して見てみましたが 問題らしい問題はキャブでは発見できませんでした。
パッキン類を新品に交換して 元に戻して 再装着して再度エンジン始動して様子をみてみます。
走らなくても ある程度回転上げたままにしているとストールしてくることが解っていたので 実走せずで様子みてみます。
やはり 低回転維持では問題ありませんが 高回転維持にすると途端にストール傾向になります。

どう考えても 点火系に問題はなさそうですが 一応 CDIからイグニッションコイルと手持ちのテスト用に変えてみましたが 思った通り 全く症状は変わりません。試しに 清掃した当該車両のキャブとテスト用のキャブに交換してみましたが やはり症状は変わりません。
こうなるとエンジン本体側を疑うしかありません。

 
その前にエンジン冷間時に 一応 タペットのクリアランスとカムの動きは確認していましたが この部分にも外から見る限り問題らしい問題はありませんでした。
なにが 謎々かって エンジンの始動性も寧ろ いい方の部類くらいで アイドリングも綺麗にしているのになぜストール?って感じで........


とはいえこれでは前に進みませんので お客さんに経緯を説明してヘッド、シリンダーをバラしてみることに。
其の三に続く

リトルカブ改 謎のエンジン不調 其の一

先日のカブのライトボアアップの記事内にて少し触れた 近年修理した中で 久しぶりに悩まされた修理内容です。修理自体は 一か月ほど前に終わって納めてありましたが なかなかアップするまでにいたらずでしたが。

ホンダのリトルカブ 2000頃のモデルですか。近所のお客様で 現在走行 約15000km。購入当初から タケガワの eステージ(81ccになり ノーマルヘッド仕様)のキットが装着されているとのこと。勿論 排気量変更に伴い ナンバーも黄色ナンバーになっておりました。
eステージキットなのでノーマルキャブ、ノーマルマフラーで対応できるものです。キタコのライトボアアップキットより1万円ほど高いですが 専用のカムシャフト等が付属しており こちらのキットの方がより 高回転でボアアップでの力が感じられます。
お客様は このコンポーネントで問題なく走ってきていたようでしたが ここ一年くらい前から ある程度アクセル開けて走っていると 徐々にエンジンの回転が上がらなくなる症状が起きていたとのこと。初めは ダマしダマし走行していたそうですが 昨年暮れぐらいからは ある一定のスピード以上で走っていると エンジンストールしてしまうということでの 修理依頼でした。エンジン停止しても 直後にすぐに再始動可能で何事もなくアイドリングもしているとのこと。
tetsuが試走してみると 40kmくらいで走行している分には問題なさそうなのですが 50kmくらいで定速走行していると 500mほど走らないうちに症状が出てきました。
そのままアクセル開け続けてみると お客様の言う通り エンジンストールしていきます。
で、再始動は問題なくも出来ますね。

???ですが 一番はやはり 「燃料来てない?」という疑いですが 「燃料キャップの詰まり?」「ちゃんと排気されない?」「点火系リーク?」「エンジン内圧が抜けてない?」などなども考えられますね。
燃料キャップは 伊東二輪在庫のカブの物から手っ取り早く 交換してみて試走してみましたが 全く変わりませんでした。また内圧を抜いているブリーザーパイプ部も 圧力変動の確認もして 一応 大気解放して(当該車両は排気ガス規制後の車両なのでブローバイガス還元装置が装着されています。それを介せずということですね。)走行してみましたが これも変わらず。点火のリークはなさそうでしたが 一応 プラグも手持ちのテスト用でやってみましたがこれも変わらずです。
プラグの焼けもどちらかというと焼けが良すぎている感があるくらい カブってどうのとは考えられないものでした。となると やはり燃料が来なくなっていると考えるのは 通常方向ですが。


ということでセオリー通り まずはキャブレターをバラしてみることに。どちらにしろ経年使用でキャブのパッキン類がダメになっているようで フロート室との合わせ面からガソリンが滲んでいる状態だったので その交換も兼ねてできますので。

と謎々の始まりでした......其の二に続く