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あなたと 楽しい二輪車人生を共に歩むために。

CRM250R 納車に向けて 其の三

で、早速腰上バラしましてピストン外して、排気バルブも外して。
クランクの状態はよかったですね。今までのオーナーが過度な激しい走りをしてませんので、コンロッド大端部のスラストのガタもなく、隙間も余裕の許容範囲です。空転の感触も問題なく サイドベアリングも良好です。
次に、ピストンは新品にするとはいえ ピストンとシリンダー周りの状態も診ておきます。シリンダーはメッキシリンダーですがこれもCRMは結構強いメッキですので 今回の車両も問題は見られません。

ピストンは新車時からのものですので まだピストンスカート部にモリブデンコートがされてない頃の物です。しかしCRMのピストンは歴代、オイル管理をしっかりしていて過度な使用環境ではない(いつでも全開で走るとか....)車両で適切な時期にエンジンOHの場合、そうそうピストン側面に大きな傷が付いているのはありません。下手するとリングのみ交換でいいのではと思えるものが多いです。これがスズキやヤマハさんの2ストですと 結構なキズが付いているのも 当たり前なのですが....逆にそれが普通とも言えるのが 2ストの構造上の問題でもあるのですがね。
シリンダー内に開いている 「吸気ポート」やら「排気ポート」やら「掃気ポート」といった4ストでは存在しないシリンダー内の開口部を通過していることにより、ピストンに負担がかかるとされています。それによりどうしてもピストン側面の当たりも強くなりがちなのもあります。
まぁ 馬力効果の代償ということなのですがね。


で、今回の取り外したピストン 側面に燃焼吹き抜けの跡が沢山付いてますね。特にリング部下部周辺の黒い部分が全部そうです。上部の燃焼がリングとシリンダー壁をすり抜けてスカート側に抜けているのですが 一番の理由は使用距離による経年のピストンリングのへたりなのですが、今回のケースは別の事も起こっていました。
セカンドリング(上から二番目のリング)が半分固着して動いてない状態になっていました。原因は排気ポート側のリング面の当たりによるリング溝へのカーボン蓄積によるものです。ピストンリングはバネみたいな状態なのでその弾力がないと効力が薄れます。これは2スト、4スト同じです。で、上手く動けてないと ピストンの首振りを招いて 焼きつきの原因を作ります。これが2ストでの距離的な問題で焼きつきの原因となる多い理由のものです。こういったトラブルを未然に防ぐためにも、適切な距離、時間でのバラし点検が必要なのです。
更にこの部分にストレスをかけるもう一つの部位が 排気バルブへのカーボン蓄積です。排気バルブはシリンダーの排気ポートに装着されているため、多大なるカーボン蓄積の場所となってしまいます。この蓄積を見逃していると最終的には、排気バルブ作動モーターの焼損やECU破損も引き起こします。しかし一番の問題はその蓄積したカーボンがシリンダー内にセル出てきてしまうというものです。そうなると必然的に 上下するピストン側面に接触するようになり それが原因で焼きつくのです。



上の写真、今回のCRMの取り外す前の排気バルブの感じがこんな感じです。距離なりのかなりのカーボンが蓄積しておりました。



そして↑が取り外したRCバルブです。1mmくらいのカーボンは付着してますね。これを除去するのがまた結構大変なんです.....硬いんですよ、蓄積カーボンが.....炭化したカーボンが更に焼かれているので 本当に硬いんです.....といいつつ 地道にキレイにしましたけどね。


↑が新品ピストンです。もう今後手に入るのか微妙ですが.....
リング溝より下が灰色なのがモリブデンコートされているものです。NSRなんかもいつぞやからかこの仕様になってましたよね。今ではモリブデンショットも一般的になりつつありますけどね。

ということで、今回のCRMはここでバラしておいて正解な車両でした。このまま「調子いいからまだまだ大丈夫!」と言って、バラしもせず納車されていたら この先 1万キロはもたなかったでしょうね。新オーナーさん、楽しく安全に 2ストオフ車を楽しんでください。継続使用にて乗り続けるのは労力がかかってしまうかもですが そこは極力協力しますので!伊東二輪 林道中も機会があれば行きましょう。
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